第29話


私の入れられた牢屋の中には私の他に

小さな男の子と女の子が一人ずつと女の人が一人いた。


「初めまして…」


「初めまして。

私はこの子たちの母親のアンナよ

この子たちはマイとカイトっていうのよろしくね…」


「私はサリーです

よろしくお願いします。」


「あなたは一人で捕まったのね?」


「はい…

迷宮の転移罠で飛ばされた先が奴隷商と繋がってる

盗賊みたいな人たちの所だったんです。」


「その年でもう迷宮に入ってるのね…」


その後アンナさんたちが捕まった時の話を聞いたり

この牢屋内の事を教えてもらったりした。


ここは奴隷商の商品置き場なんだそうだ。

ご飯は一日二食。朝と夜に持ってきてもらえる。

奴隷オークションが開催される時に全員連れていかれて

奴隷として買い手がつかなかったらまたここに戻される。

3回のオークションでも買い手がつかなかった場合には鉱山奴隷として

格安で売られていく。


「まあ、ここについてはこれくらいね。

他はルールとかもないからのんびりするといいわ。」


「ありがとうございます。」


アンナさんにそう言われて私は牢屋の隅っこに座って

ボーっとしてると他の牢屋の人たちにも話しかけられて

皆の捕まった経緯などを聞いた。


そんな事をしていると

晩御飯が運ばれてきた。


晩御飯は硬パン半分と二口くらいのスープだ。

少ないけど飢え死にはしたりしない。


晩御飯の食器を下げに来たおばさんが


「明日の昼くらいにオークションが開かれる。

あんたらにいい買い手が付くといいね。」


そう言い残して食器をもって戻って行った。


あのおばさんもさっきの二人組の男の人も

すごく優しいのに何でこんな仕事してるんだろう。


奴隷オークションの時に逃げ出せればいいなと思いながら

今日は逃げることもできないので寝ることにした。


翌朝起きると朝ごはんを食べてその後

オークションに備えて男女で別れて湯浴みに連れていかれた。


そして準備が出来たら手かせと足枷を付けなおされ

馬車に乗せられてオークションに向かう。


オークション会場は大きな商会の地下にあるらしく

商会の裏口に馬車が止まって建物の地下に続く階段から降りていく。

きっとちゃんとしたオークションじゃないんだろう。

さっきチラッと見えた観客席にはみんな顔を隠した男女問わず色んな

人たちが座っていた。

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