第17話


私達は街からしばらく歩いたところにある森の前にきていた


「この森を抜けた先が俺たちがすむザンドの街だ!

これからこの森を突っ切って魔物と戦闘をしながら向かう

サージス、サリーとシュガー、俺、メグミの順番で進む」


「わかりました」


森に入ったら木々の間を進んでいくので皆で並んで歩いていると

お互いにぶつかったりすることがあるから

出来るだけ一列になって進むらしい


森の中は確かに並んでたら歩きずらそうだった

木の根に何度か躓いたりしながら少し進んでいくと

前を歩いているサージスさんからストップのハンドサインが来た

私は止まって何があったのかと思っていると


「この先に小型の魔物が一匹いる」


と振り返ったサージスさんが小声で教えてくれた


「魔物ですか」


「この感じはスライムだな

サリーの初戦闘にはちょうどいいな」


「頑張ります」


そう言ってゆっくりスライムが居るといわれた方向に歩いていくと

薄い青色のゼリーみたいな体の中に小さな石が1個浮いてるようなやつがいた

きっとあれがスライムだろう


「スライムは体の中にある核を壊したら簡単に倒せるわよ

何かあってもすぐ助けるから無理しないで頑張るのよ?」


いつの間にか近くに来ていた

核って多分あの変な石みたいなやつだよね


「わかりました

頑張ります!」


短剣を出してスライムにゆっくりと近づいて行く

後一歩でスライム短剣が届きそう


「っわ!!」


急にスライムがジャンプしたのにびっくりして

声を出してしまった

もう気づかれてるかな…


「サリーそのままスライムに振り下ろしだ!」


ケイさんの声が聞こえてきて反射的に言われた通りに振り下ろしをすると

スライムの核にしっかり当たって

簡単に倒せた


「びっくりしました…」


「初戦闘おつかれ!」


ケイさんはそう声をかけてくれてメグミさんはこっちを見て笑顔で拍手してくれていた

サージスさんは無言で頭を撫でてくれた

ずっと無言だし私嫌われてると思ってたけどそんな事なかったみたいで安心した


「ありがとうございます

ケイさんのおかげで何とか倒せました!」


「この調子でできるだけ魔物と戦闘しながら進んでいこうか」


とりあえずその場で少し休憩することになった

魔物は倒すとドロップアイテムを落として消えるそうだ


私が倒したスライムはスライム油を落としていた

透明の入れ物の中にスライムの体にそっくりな色の液体が入っているものだ

これは火をつけるときの燃料に使ったりするんだそうだ


そんな説明を聞いていると


『サリーこれあげる!』


シュガーちゃんがそう言って何かを咥えてきた

何かと思ってそちらをみると


緑色の体をして背が小さめな人間のような姿の魔物だった


「こいつはゴブリンだな

サリーの練習の為に狩ってきたんだな!」


「あ、ありがとう?」


嬉しいような怖いような複雑な気持ちでお礼を言って

短剣を構えてゴブリンの方に向き直る

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