第9話


「あなた、何で宿に泊まらなかったの?」


「お金が足りなくて…」


「そうだったのね。

わかったわ。ちょっとまってなさい」


そういっておばあさんが強そうな男の人に何か話かけると

男の人は頭を下げてその場からいなくなった


待ってる間何もしないのも時間の無駄だから

私はドブさらいを続けることにした


(おばあさんは何をするつもりなんだろう?)


それにしてもこのドブはやっぱり臭いな…

さっきよりにおいがきつくなってきたな。


「そのお仕事はいつ終わるのかしら?」


「多分あと一時間位で終わると思います!」


そう答えながらもドブさらいをする手は止めない

一刻も早く終わらせて水浴びをしたい


その後依頼完了までおばあさんに話しかけられることはなかった

なんとか以来のドブさらいが終わってドブから上がったタイミングで


「あなた今日はどこで寝るの?」


ずっと後ろで私の仕事を見ていたおばあさんに話かけられた


「今日も路地裏の予定です!」


「じゃああなた今日はうちに来なさいな」


なぜかおばあさんの家に誘われた


「え、でも私汚いですしOスキルの出来損ないなので

おばあさんに迷惑がかかってしまいます」


「いいから来なさい

スキルなんて気にしないわよ

汚いならお風呂に入ればいいだけじゃない」


と押し切られる形でお邪魔することになった



昨日依頼で来た時は家の中に入らなかったから大きい家だなと思っただけだったけど

家の中に入ると大きいだけじゃなくて内装がすごく綺麗だった。


家の中は全体的に白っぽい感じで清潔感がある。


「ほら、早く入ってきなさい」


「お邪魔します」


「まずはお風呂に入った方がいいわね」


そういいながらおばあさんが手をたたくと


「お呼びでしょうか奥様」


そう言いながらメイド服をきた綺麗な女の人が出てきた


「アンナ、この子をお風呂に入れてきてあげて頂戴

服は適当なの身繕ってあげて、終わったら談話室に」


「かしこまりました」


そういってメイドのアンナさんは綺麗なお辞儀をして私に向き直って


「初めまして。

私はこのテンドウ家のメイド長のアンナと申します

よろしくお願いいたします。」


「は、初めまして

私はサリーといいます。

よろしくお願いします」


凄く綺麗なお辞儀をしながらそう告げるメイドさんに私もお辞儀をしながら自己紹介をした。


「サリー様ですね。

それではお風呂にご案内いたします」


「よろしくお願いします」


テンドウ家って言ってたな

確かテンドウ家って奴隷商人の家だったはず


(私も奴隷にされちゃうのかな…)


そんなことを考えながらアンナさんの後についていく


「こちらが浴室になっております。

お召し物は用意しておきますのでごゆっくりどうぞ

終わりましたらこちらのベルをならしてください」


そういってベルを渡してアンナさんは立ち去って行った


ー--------------


お風呂から上がると着替えがおいてあったのでそれに着替えて

ベルを鳴らしてアンナさんを呼ぶ


「上がられましたか

それでは奥様のもとにご案内いたします。」


そう言ってアンナさんが歩き出したので後について歩いて行く。

アンナさんがひとつの扉の前で止まってノックをする


「入っていいわよ」


おばあさんが中から返事をしたので入室すると

ラーニン家でも見たことがないような高級な家具が並んでいた。

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