第8話

私は嫌な気分を振り切ってギルドに向かうことにした。朝も早い時間だからかギルドはそんなに混んでいなかったので依頼をゆっくり見ることが出来た。

Fランクの依頼は相変わらず街中で出来るものばかりで助かる

薬草採取とかスライム討伐もやってみたいけどまずは武器がないからお金を貯めないとね!


依頼は

大工の手伝い報酬1500ルター

迷子のペット探し報酬1000ルター

犬の遊び相手報酬800ルター

ドブさらい報酬900ルター

街中で出来るのはこれくらいかな?

シュガーちゃんの遊び相手また探してるのか

でも、おばあさんに頂いた物盗まれちゃって申し訳なくて行きずらいな…

力ないから大工の手伝いも邪魔になっちゃうだろうし、迷子のペット探しは大変そうだから

ドブさらいにしよう!


依頼書を剥がして受付カウンターに持っていく


「おはようございます!

この依頼を受けたいです」


「おはようございます!

ドブさらいですね、それではこの地図に乗ってる範囲をお願いしますね

それからすくったドブはこの袋に入れてこの地図の赤いところに埋め立て地があるのでそこまで持っていってください!」


ドブをすくって袋に詰めて持っていく。

それを地図の範囲やったら終わりってことか!


「わかりました!

ありがとうございます」


という事で早速袋と地図を持ってドブさらいの現場まで向かうことにした。

向かう時はもちろんスキップを使いながらいく

役に立たないスキルだと思ってたけどなんかスキップしてると楽しい気持ちになってくる

弱虫ですぐ落ち込む私にはちょうどいいスキルなのかも?


そんな事を考えながらスキップしていると目的地についた。

よし!頑張って早く終わらせてもう1個依頼を受けれるようにしよう。


「うっ…く、くさい…

いつから掃除してないの…………」


とてつもなく臭かった…

頑張るつもりだった私のやる気が一気になくなっていっちゃった。


「でも、やらないと終わらない…

やるしかないか…」


気が重いけど依頼を受けちゃったからにはやらないとね。


「うぅぅ…触りたくないぃぃ

ドロドロしてる…臭い…」


作業を初めてから30分くらいたったはずなのに全然進んでない…多分5メートルくらいかな?

地図に載ってる範囲は50メートルくらいだ…

袋は魔法の袋なのかな?

いくらでも入りそうだし、重さも変わってない。めちゃくちゃ高価なものだって聞いたけどドブさらいに使っていいのかな?

そんな事を考えて匂いとかを出来るだけ意識しないように作業してもまだまだ先は長い…


「後30メートルくらいかな…」


ひたすら無心で作業することにした。

私は何も考えない。私は何も考えない。

私は何も感じない。私は何も感じない。

と呪文を繰り返してると、後ろから頭を押さえつけられた


「…!?な、なに!?」


人間の手とは何か違う気がする…

なんだろう?


「あなた、私が何度も話しかけてるのに無視するなんて!」


と怒った声も聞こえる。

でも、この声聞いたことあるような…?


「シュガーちゃん、手をよけてくれる?」


手を避けて貰えたので後ろを振り返るとやっぱり、シュガーちゃんとおばあさんだった。

今日は知らないすごく強そうな男の人が近くにいた。シュガーちゃんのお散歩かな?


「昨日はありがとうございました!

集中してて話しかけられたの気づかなかったみたいですいません…」


そう言うと


「そんなことはどうでもいいのよ。

あなた昨日あげた物はどうしたの?

昨日の袋に入れて置けば寝袋背負ったりしなくてもいいでしょうに。」


「ごめんなさい…

盗まれてしまいました。

せっかく頂いたのに本当にごめんなさい」


「どうして盗まれた?

あなたどこで寝てるの?」


「路地裏で寝てます。

夜寝てる間に盗まれたみたいで戻ったら寝袋しかありませんでした…」


おばあさんの目が段々吊り上がっていく

そうだよね…

せっかく用意してもらったものを盗まれたらおばあさんだって

嫌だよね…



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