第10話


「奥様、サリー様の支度が整いました。」


アンナさんがそう言うとおばあさんがこっちをみて


「綺麗になったわね。

そこにお座りなさい」


と言われたので、そこに座って


「お風呂ありがとうございました。」


このまま奴隷にされるのかななんて考えながらお礼を言った


「うふふ

改めまして、私はテンドウ家の当主のマドカ・テンドウよ」


「私はFランク冒険者のサリーです」


冒険者が挨拶する時はランクを告げた方がいいってギルドの説明で聞いた気がするんだけど間違っちゃったかな


「サリーね。

サリーはどうして冒険者になったの?」


「Oスキルだったので、就職も出来ないので生きていくために…」


「親御さんは、どうしたの?」


そう聞かれて私はスキルを授かってからの事をラーニン家だと言うことだけ隠して話した


「そんなことがあったのね

それで冒険者になって生活しようってことね」


そんな話をしてると扉がノックされて


「奥様、ただいま戻りました。」


と男の人の声が聞こえた。


「入ってちょうだい」


マドカさんの声に従って入ってきたのはさっきの強そうなおじさんだった。


おじさんは手に私が盗まれた鞄を持っていた

もしかして取り戻しに行ってくれてたのかな


「奥様、こちらが盗まれた物かと思います。

残念ながら中身が全部あるわけじゃないですが」


「ご苦労様

それはサリーに返してあげてちょうだい」


「かしこまりました。

サリー様こちらは盗まれていたものです。どうぞ」


返してもらえると思わなかったサリーは少し固まってしまったが

何とかお礼を言って荷物を受け取った


「ありがとうございます。」


おじさんは荷物を渡すとマドカさんの後ろに行って護衛の仕事に戻ったようだ


「さて、サリーはこれからどうするの?

私としては助けてあげたいのだけれどさすがに子爵家に目を付けられる訳には

行かないの。

だから今日一日うちでゆっくりしてこれからどうするか考えなさい」


これからか…

でも、このまま冒険者を続けていくしかないよね


「私はこれからも冒険者を続けていきたいと思います。」


「わかったわ

それじゃあこの街をでなさい。

あなたは子爵家に見つかったらまたひどい目に合わされるわ。」


違う街に一人で行くのは怖いけどあの人たちにまたあんな目に合わされるのも嫌だ…

覚悟を決めるしかないのかな

これからは一人で生きていくって決めたもんね


「わかりました。

色々ありがとうございました」


そういって立ち上がるとマドカさんに止められた


「ちょっと待ちなさい

今日はここに泊まって明日出発しなさいな

アンナ、サリーを客室に案内してあげて」


いつの間にか部屋の中にいたアンナさんにマドカさんが声をかけると

アンナさんはすぐに案内してくれた。


部屋はかなり豪華なつくりになっていておいてある家具もかなり

高そうなものばかりだ

やっぱりテンドウ家はすごいな


それにしてもどうしてマドカさんは私によくしてくれるんだろう?


そんなことを考えていると


「お食事の時間になりましたらお迎えに上がりますので

ゆっくりお休みください。」


と、言ってマドカさんは出て行った

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