第31話 レク係とは
というのも実は、この前行われた遠足の話し合いで俺はレク係というものを任されたのだ。長引く上に長引いた話し合いだったので、すんなり受け入れたのだが、実のところよくわかっていないのである。
「レク係というのはですね、遠足を盛り上げる役目……つまりは応援団の団長、もしくはチアリーダーといったところでしょうか」
「……うむ、わかった。よくわからんことがわかった」
「え~、どうしてですかぁ~」
涙顔の小枝が、箸を口に
「意地汚い顔を近づけるな。大体なぁ、なんでフィールドワークに盛り上げ役が必要なんだ?」
「それは俺が説明してやろう」
茶髪の高江洲が自分のマグロ丼をトレイに乗せたまま、俺たちのテーブルへ割って入る。
「遠足といえば一大イベントだぜ? 1分1秒、空き時間すら有効活用しなきゃしらけちまう。その為に優秀な盛り上げ役が必要なわけ」
「そうなのか?」
「そうなんです! もぅ博識な安藤君らしくないですぅ~」
ニヤリ顔をしながら
そもそも盛り上げろと言われてもなんにも浮かばんぞ。幼少期の頃の遠足はバスにて勉強、訪問先で隙見て勉強、弁当食って勉強、自由時間に勉強……勉強ばっかしてた俺だぞ。
「そんなアンドレにいい案があるんだが?」
「いい案?」
困り顔の俺に、ふと高江洲が助け舟らしきものを匂わせる。
「何です? 何です?」
「ぴよ子はいいの。俺とアンドレに任せとけって」
「え~、私もお手伝いします」
「ぴよ子は訪問先の選定や三科ちゃんの手伝い、その他
「なんだか疎外感ですぅ」
「というわけで、今日からさっそく準備していこうな」
「なぁ、高江洲……それって俺も必要? お前一人でなんとかなんない?」
「アンドレ、レク係はお前だろ?」
♢♢♢
そんなわけで、放課後に高江洲の自宅アパートへと連れてこられた俺。お世辞にもキレイな住まいとは言えない、いや、むしろオンボロだ。そんなオンボロアパートの一室へと案内される。
「兄ちゃんおかえり~」
「おかえりなさ~い」
部屋のドアを開けるや否や、児童の男女1セットが高江洲のもとへ駆け寄ってくる。
「シュウ、キョウ、良い子にしてたか~?」
「「うん!!」」
二人は頭をなでられ、なんだか和やかな雰囲気。なぁ、俺ってもしかして場違いか?
「お、わりぃわりぃ。俺の弟と妹なんだ」
思い出したかのように説明する高江洲。高江洲家の
「兄ちゃんの友達だ。ほれ、あいさつ」
「「こんにちは」」
「う、うむ」
児童というものに全く縁のない俺はあいさつすらまともに返せず。戸惑いつつも、そのまま高江洲の部屋へ案内されるのであった。
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