第25話 われわれ生徒会
「ちょっと、ちょっと! これはどういうことよ!?」
「なにがです?」
舘林さんのいる生徒会室へ訪れた俺たち三人は、組体操の
「南田君を説得したことは予想以上の功績よ。褒めてあげるわ。だけど、その子はなに!?」
「小枝ひよりさん、我がクラスの学級委員長です」
「わかってるわよ、そんなこと!」
舘林さんは思いのほか取り乱している。やはり南田がいったとおり、この人は小枝が苦手なようだ。なんとなく気持ちはわからんでもないが、これでこの人の思惑に一矢報いることができると内心ほくそ笑む。
「まぁまぁ生徒会長。いいじゃないですか、これで役員に不足は出ないわけですし」
「南田君、あなたまで……とにかく小枝ひよりの役員任命はできません」
「ええ~、そんなぁ~。お願いです、ちはちゃん」
「ちはちゃん言わないで! 私はあなたの一年先輩よ!」
「ぴよちゃんがダメだというのなら僕らもお断りさせていただきます。他を当たってください」
「ちょっ、南田君!」
舘林さんは悔しそうに奥歯を
「安藤君、あなたはどうなの? 小枝ひよりも一緒でいいの? 余計な仕事増えるわよ」
むっ、痛いところをついてくる。確かに、俺もこいつと一緒ということを歓迎しているわけではない。だが、ずっとこの人のペースで役員活動をこなすのはもっとごめんだ。少しは反抗させていただきたい。
「舘林さんが優秀だと推した南田の推薦ですよ? それを拒むんですか? ええ?」
「ぐっ……安藤君、あなた嫌なやつね」
大きなため息を一つ漏らすと舘林さんは観念したようだ。
「わかりました……小枝ひよりの役員任命を認めます。お荷物はダメ人間の安藤君一人で十分だけど、この際仕方ないわ」
なんか、さらっと悪口を
「わぁ~い、ありがとうございます! ちはちゃん!」
小枝が嬉しそうに舘林さんに抱きつく。
「その『ちはちゃん』をやめなさい!」
こうして我々三人は快く(?)生徒会に迎え入れられることとなった。いささか軽率な判断もあり、今後どえらいことになりそうな予感もするが、まぁどうにかなるだろう。
♢♢♢
「お~い、安藤~♪」
翌日、廊下で担任の三科が嬉しそうに小走りで駆け寄ってくる。
「お前、生徒会入ったんだって? いや~感心、感心」
「……なにが言いたいんです?」
この人がご機嫌なほど怖いものはない。俺は怪訝そうに尋ねる。
「これからこき使ってやる」
「え……」
「言っとくが生徒会に拒否権はねーからな」
そうダークな笑みを投げかけ、三科は去っていく。
(やっぱ、判断を間違えたかもしれん)
残された俺には滴るほどの嫌な汗が流れていくのであった。
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