第11話 小枝レポート その1
「しかし、さっきの
「三科先生をあそこまで本気にさせるって、アンドレはやっぱすごいよ」(モブA川岡)
「そういえば、三科先生たち、お昼に来ないね」(モブ眼鏡女子B)
「今頃、菜乃ちゃんにしぼられてるんだろw」(茶髪)
「あのなぁ、壮……先生たちに『ちゃん』付けはやめろ。あんな先生たちでも、立派な先生なんだからな」(南田)
「南田こそ、あんな先生たちって……」(川岡)
「でも不思議です。三科先生、凶暴ですけどなぜか結原先生にだけは頭上がらないですよね」(小枝)
「ま、人間関係は色々あるからな。弱みでも握られてるんじゃねぇの?」(茶髪)
「でもでも、アンドレ君の頭の良さがよくわかったピョン。今度からはアンドレ君にテスト勉強を教えてもらえるぴょん」(うさぎ)
調理実習室にて……。
昼メシの準備をしながら、さっきの話題で盛り上がっているクラスメイトたち。それを横目で流しつつ、黙々と作業に没頭する俺。うさぎがさりげなく勉強係を押しつけようとしているが、心で拒否しておいた。
本日、川岡の作るメニューは『気まぐれサラダ盛り合わせとオムライスセット、オニオンスープ』である。卵は近所の養鶏場から分けてもらってきており、野菜やオニオンは先ほども述べたとおり、校内のハウス庭園から
(しかし、こいつらのチームワークはなかなか大したものだ)
川岡の指示のもと、調理過程を盗み見ているが、クラスメイト達の作業には無駄がない。一見すれば、店の厨房の風景のよう。
こうして完成していく料理な訳だが、オムライスの卵焼きは中身半熟のふわふわで、ソースはお手製のデミグラス。サラダは万能のシーザードレッシングをかけ、オニオンスープもなかなかに旨そうである。
俺も役割である配膳と集金の作業を終え、席についてさっそく、そのメニューをいただくことにした。
「うむ、うまい」
食に鈍感な俺でもわかる。
この料理は確実に旨い、と思わず舌鼓を打ってしまう。川岡、奴のメニューにハズレというものはあるのだろうか? あれば逆に食べてみたいものである。
「ではでは、小枝レポートを始めたいと思いまーす♪」
(小枝レポート??)
昼食の最中、不意に小枝がインタビュアーのようにマイクらしきものを持ち、川岡へとインタビューをし始めた。
「よ、待ってました」
「ぴよちゃんのレポート、久々だね」
そして、他の生徒達はやんや、やんやとそれを楽しんでいる様子。なんか、唐突に余興が始まったんだが……。
俺は戸惑いつつも、それを眺めていた。
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