転生したらマクドナルドのポテトだった件
日曜日よりの使者。
あまり長風呂はするもんじゃない
目の前では赤い服を身に纏った人々が忙しなく働いていた。頭に乗せたサンバイザーの額の部分に「M」の文字が刺繍されている。それぞれが真面目に自身の仕事を全うしている。お客の注文を次々と捌いていくスタッフ、注文にすぐさま反応しハンバーガーを次々と作っていく職人。私はそれらを下から見上げていた。
数分前、熱々の何かに投げ入れられたところで目がさめた。明らかに火傷してしまう温度の何かではあったが、その中は居心地よかった。凍えていた体に、その何かによって伝達された熱が移わって体の表面がきつね色に変色していくのがわかった。心なしか身体がどんどん硬直していく。
横には全く同じ見た目をしたものたちがひしめきあって乱雑に並んでいた。彼らもまた時間の経過と共に黄金色へとその身を変えていく。
私はポテトに転生したのである。マクドナルドのポテトに。
生きるのが嫌になり、ビルの屋上から身を投げた。しかし今、私はマクドナルドのポテトとなり油の中に投げ入れられたのだ。ポテトに転生したことにあまり後悔はなかった。生前の私は、ポテトを食べるのであればマクドナルのポテトと決めていたからだ。
そんなことを考えていると、時間の経過を知らせる例の音楽が鳴り私は網の上に乗せらた。ポテト職人が振りかける塩が私にかからず心配になったが、その後しっかり混ぜられ十二分に塩が付着した。
あとは注文を待つのみだ。周りの仲間達は次々とすくいあげられ、Mサイズのカップへと注がれていく。生前、自身の使命を全うできなかった私は、ポテトとなりようやく自分のすべきことを全うできるのだと嬉しく思った。
しかし、自分の順番はなかなか来なかった。ついに来たかと思えば、ポテト職人はトレイの中をかき混ぜ絶妙に私を外した。
隣のポテトが「ポテトにも運ってあるんですね」と私に話しかけ、うんとだけ返事をした。
しばらくすると、ようやく私の順番が来たのだ。しかし、行き着いた先はゴミ箱の中であった。猶予の7分がきてしまい、ポテトとしての使命を全うできなかったのだ。
それでも後悔はなかった。マクドナルドのポテトとして生まれ、廃棄される私は、「これもまたポテトの人生」と自分を納得させた。そして私は、マクドナルドのポテトに生まれ大きなことを一つしれた。
ビックマックってたくさん売れてるんだな。
転生したらマクドナルドのポテトだった件 日曜日よりの使者。 @magunusen
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