　翌朝、馬車は見慣れた教会に到着した。

　ギルドの団長が、教会に前に立つ騎士に伝達して、すぐにシスター達が出てきた。

「アリア、あなた脱走したのではありませんか？」

　ギルドの団長はアリアが話したことをシスター達に話してくれた。

「あの魔窟で、突然誘拐されて、一人で祈りを捧げよと命令されていたんだ。あまり責め立てるな。魔窟は人の住みかじゃねえ。そこで祈りを捧げていたのなら、相当、辛い思いをしてきただろう」

　ギルドの団長は、アリアを庇ってくれた。

　魔窟という場所を知り尽くしているから言える言葉だろう。

　アリアも魔窟で、本当に祈りを捧げよ……なんて命令されたら、毎日、泣きくれただろう。

「それは誠のことですか？」

「はい」

「このお嬢さんは、足に怪我をしていた。昨晩、自分の歌で治療をしたが、まだ靱帯が緩んでいるそうだ。あまり歩かせるな。かなり酷い状態だった。骨が折れていたかもしれねえ」

「アリア、歩けるわね？」

「はい」

「では、中に入りましょう」

　ギルドの団長は、アリアを教会に引き渡して帰って行った。

　アリアは教会のシスターに連れられて、聖女が暮らす建物とは違う、懲罰室のある建物に連れて行かれた。

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