第7話 量!!
ある日の早朝、まだ6時過ぎ、家の電話が鳴ります。農家の朝は早いので、こんな早朝に電話がかかってくることも少なくないのです。
しかし、出るなり、
「人参いるかい?!」
と、威勢のいい、おばちゃんの声。誰? と思いながらも、
「え、ええ……頂けるんでしたら……」
と、恐る恐る答えてみる。
「あ〜、嫁さんかい! 母さんに、人参、6線に置いてあるから要るんだったら持っていきな、って言っといて!」
勢いのいい電話は、一方的にそう言って切れました。
っていうか、6線って、道路の名前で、そんな道のどこだかわかんないところに置いてある人参を持っていけ??
わけがわからないまま、
「あ〜あ〜、〇〇さんだね。わかったわかった」
わかったようです。……それでわかるんだ、凄いシステムだな。
そして夕方、
「緋雪さん!」
裏玄関から義母様にでっかい声で呼ばれて、
「人参いるかい?!」
軽くデジャヴを感じながら、
「ちょっとだけ頂戴」
夫が人参嫌いなので、私の食べる分だけでいいや、と。
「お母さんも食べるでしょ? その残りのちょっとだけでいいよ」
と答える嫁。
「私の食べる分の残りったって……」
何? その反応は??
「どれくらい貰ったの? スーパーの袋でどれくらい?」
「スーパーの袋?? どれくらいかわかんないわよ」
……。
裏玄関から外に出て、言葉を失う私。
軽トラに、コンテナ5つ分と飼料袋5つ分の人参……。
いや、量!!!!
これは貰ってくるという量なんですか、お義母様!!
軽く出荷かと思ったわ。
うちに20kgほど置いていかれました。地下に入れて、私一人でせっせと食べましたが、全然追い付かず、結局、半分以上廃棄してしまいました。なんて勿体無い……。
人参に限らず、この辺の農家さんが下さる野菜の量はハンパないです。
有り難いのですが、消費できる量だけで十分です(泣)。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます