第6話 赤飯

 うちでは、神社の祭の日に赤飯を炊いて、お隣の親戚の家にもお裾分けする風習があります。うちとお隣さんの境で神社が変わるので、お隣さんは次の日が祭。で、隣から赤飯が届く。

 

 嫁に来て最初の年、こっちの赤飯を見て驚愕。


「え? ピンクじゃん?」


 そう、北海道の(うちの方だけだったらごめんなさい)赤飯は、小豆の色をしていない。

 桜餅のピンクを少し薄くした色のもち米に、小豆が入っていて、分厚くスライスした紅ショウガが添えられています。


 え? 嘘でしょ? 作り方がわかんない。


 お隣さんに聞きました。あずきを茹でて柔らかくして、茹で汁を捨てて、食紅を少し入れた水に餅米を浸して一晩置いて……。


 え? え? え?

 あずきの茹で汁……捨てちゃうの? 嘘でしょう??

 この、十勝の最高級のあずきの旨みたっぷりの茹で汁を??

 そして、食紅入れて赤飯って……



 もうね、十勝の人はわかっていない。十勝のあずきと言えば、最高級ブランド。それだけで小豆の味が仕上がりまくってるのに、その「味」の部分を捨ててるだなんて!!


 

 私は、えて、汁を捨てずに、郷里で食べていた赤飯を炊いて持っていきました。


「あら〜、緋雪さんのところの赤飯って変わった色してるのね〜」

 って言われて苦笑い。

 次に会った時に、

「ねえねえ、あの赤飯、すっごく美味しかったんだけど、どうやって作ったの?」


 ……茹で汁捨てなかっただけです。それと食紅で色もつけてません。



 勿体無いなあ、と思いながらも、最近はピンクの赤飯に慣れてきて、コンビニでピンクの赤飯おにぎりをよく買うようになりました。真ん中に「甘納豆」が入ってて、それもびっくりしましたが。慣れました。これはこれで、美味しい。十勝あずきの味が絶対的に勿体無いけど。



 そうそう、その赤飯に添えられていた紅生姜のスライスですが、スーパーの、あのいつもの千切り紅生姜の隣に、ホールの形のままの紅生姜が売ってて、それをスライスするのです。

 遊びに来た私の従妹いとこが見つけて、

「ええ?! 何、このワイルドな紅生姜??」

 って、めちゃめちゃ驚いておりました。



 私は東北の食文化については全然わからないんですけど、東北でもピンクの赤飯なんですかね?? それともやっぱり北海道限定なのかしら?


 ホントに、びっくりでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る