第64話
「……む」
朝、顔の上にのっていたニナの足をそっと下ろしてから寝相を整え、布団をかけ直す。良い夢でも見てるのか幸せそうにむにゃむにゃ言っていた。
ステラとラッツは物凄く寝相が良い。というか寝相が悪いのがニナだけだったりする。起きたら一人だけ反対向いてたりするし…。
まあ三人が天使であることに変わりはないがな。
アリアメルはもう起きてるみたいだな。
俺は三人の頭を撫でてからそっと寝室から出ていった。
一階へ降りてキッチンへ行くと、エプロンをして朝御飯の準備をしているアリアメルが居た。すっかり見馴れた光景だ。
「おはよう」
「おはようございますグレイさん」
俺の声を訊いて振り返るアリアメル。
「今日も早いなアリアメル」
「はい。今日はいつもより沢山ご飯を用意しないといけませんから」
「すまん、いつもアリアメルには負担をかけてるな」
「いえ、私が好きでしてることですから。それに…」
そう言ってアリアメルはチラリと俺の後ろを見る。つられて後を見るとキッチンの入り口にはフィオ…だけではなくイスカとアレスにミアまでが立っていた。
「こうして皆お手伝いをしてくれますから」
「おはよアリア姉、グレイさん。さ、何からやろっか? 今日は珍しくイスカも早く起きてきたし。やー…お姉ちゃんは嬉しい!」
そう言って泣き真似をするフィオ。
「ちょ…やめろよフィオ恥ずかしいだろ!」
そして顔を赤くしてそれを止めるイスカ。
「おはようございます。その…せめてご飯を作るお手伝いでもと思ったんですが…」
アリアメルから借りたパジャマを着ているミアが、顔を赤く染めながらこちらをチラチラと見ている。
「も…もしかしてお邪魔でした?」
うん?
「折角気を効かせて手伝いにきてくれたんだ。そんなこと思う訳ないだろう」
そもそも何故そう思うんだ。
「…なあ、いい加減訂正しないのか? この調子だとずっと勘違いしたままになるんじゃ…」
イスカが小さな声でフィオに話しかける。それに対してフィオは少し考えてから。
「んー……まあいずれ勘違いじゃなくなるかもしれないし。エミリアさんには悪いけど」
何故ここでエミリアの名前が…?
俺が横を見るとアリアメルと目が合った。そして同時に首を傾げると。
「ほら、やっぱり時間の問題だと思うのよね」
「…そうかなぁ?」
そんな会話が聞こえた。
その間アレスは…まあ説明するまでもないな。
そんなことをしている内に他の子供達も起きてきて、結局皆で朝御飯の準備をすることに。
わいわいと騒がしくて良い朝だ。
「おとーしゃんおかわりっ!」
「ああ」
よし、沢山食べるんだぞ。
「パパ、私もおかわり。…ピーマン抜きで」
「わか…」
「ダメですよグレイさん」
「あ…いや、すまん」
ステラのお願いを叶えようとしたら、隣に居たアリアメルに怒られてしまった。すまんステラ…。
「……ラッツ、ピーマンあげる」
そう言ってラッツの皿にピーマンをのせようとするステラ。ラッツは口いっぱいに食べ物を頬張り、ニコニコと幸せそうに頷く。
「こーら」
しかしアリアメルに怒られてしまい、ステラと期待したピーマンが貰えなかったラッツは二人して肩を落としてしまう。
その瞬間、俺は自分に身体強化の魔法をかける。そして自分の皿の上にあったウインナーと、ステラの皿にのっていたピーマンを全速力でラッツのお皿に移動させた。
……ふぅ。バレて…
「もう…グレイさん駄目ですって言ったじゃないですかっ」
た。
「…ごめんなさい」
最近アリアメルに怒られること多いな…いや、俺が悪いのはわかってるが。
そんなやり取りをしている俺達をミアやルルエコ達がじっと見ていた。
「お前達もおかわりが欲しかったら遠慮なく言え。まだ沢山あるからな」
俺がそう言うとルルエコが皿を持って近寄ってくる。
「おかわり…いい?」
「勿論だ」
おかわりを皿によそってルルエコへ渡す。
「ほら」
「…ありがと」
そう言ってルルエコは自分の席へと戻る。そして、それを見た他の子供達が次々におかわりを貰いに来た。
うん。沢山食べろ。
朝食が終わり皆で片付けをしながら今後の予定について考える。
部屋については少しの間だけ宿屋の親父の所を利用するか。そうすりゃ何かあった時相談もできるしな。
まあ取り敢えずはあの子達が着るものを用意しないとな。
――――――――――
パパ成分補給中
コメントでキャラクター紹介が欲しいってあったんで、グレイと子供達のネタバレのないかなり簡単なものなら出せますが…
このキャラクターのも欲しいっていうのがあったら教えて下さい。(エルダーオークとかエルダーオークとか)
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