第14話
「………」
「答えてくれないのか? …参ったな、子供達の夜ご飯の準備があるから急いでるんだよ」
「……は?」
二人目の首を跳ねる。
剣についた血を払いながら後ろを振り返ると、先程首を跳ねた二人と同じ格好をした男が地面に倒れている。
いやコイツはまだ喋ってないから男か女か判らないけど。
「体……動か…何…を」
声からすると男か…ま、どっちでもいい。
「
「魔法…一体いつの間」
「タイムアップ次だ」
三人目の首を跳ねた。
バストークの街中をイスカ達の住む小屋へと全力で走る。結局あのローブに仮面を着けた男達は、誰も自分が強欲な蜘蛛だとは名乗らなかった。
当然か、名乗ったら苦しめるって宣言してしまったからな。
だから名乗らないってことはそれはそれで答えにはなってる。…質問時間が短か過ぎるんじゃないかって?
奴等が強欲な蜘蛛ならイスカ達の安否が気になるからな、時間はかけてられん。
もしあの子達に何かあったら……
イスカ達の住む小屋が見えてくる。
小屋の外で料理の準備を始めるアリアメル、その横で人形を抱いて座っているニナ。…良かった、無事か。
しかし途中で物陰からイスカ達住む小屋を覗いてる男達が居た。…この間のチンピラ達の中に居た奴等だ。
「おい」
「…?! おまえっ」
「警告を無視したな? …しかもうちの娘に覗きを働くとはいい度胸だ。さっきは失敗したからな…楽に死にたかったら仲間の居場所を吐け、これでいこう」
あの子達との生活に禍根を残すべきではない、最初からこうしていれば良かった。
のぞきダメ、絶対。
「あ、グレイさん…えと、お帰りなさい」
「おとーしゃん! おかえり!」
俺の姿を見るとアリアメルは少し恥ずかしそうに、ニナは満面の笑みで出迎えてくれた。
「…ああ、ただいま」
さっきのチンピラ達は一応まだ生かしている、動けないように拘束しているが。
アイツ等が喋った仲間の居場所が嘘だった場合はお仕置きが必要だからな。
今夜ニナ達が寝てる間に方を付ける。
明日は長い間世話になったし、宿屋の親父や娘のリナに挨拶をしとかないといけないしな。思えばあの宿屋もこの街でソロを始めた時から利用してるからもう大分経つな。初めて泊まった時はリナもまだ小さくて、俺の顔を見て怖がってたな……。
「おとーしゃん」
「どうした?」
ニナに呼ばれてそっちを見ると、両腕を広げたニナがにこにこと笑いながら
「だっこっ」
と言った。
こふっ(吐血)
……っく、落ち着け俺。
「…おとーしゃん?」
「あ、ああ何でもない。ほら、こい」
不安そうに俺を見るニナを抱き上げる。
力いっぱい抱き付いて嬉しそうにするニナと、優しく見守るアリアメル。
「アリア姉、何か手伝うこと…あ、グレイさん」
そうしてると小屋の中からイスカ達が出てくる。
「パパずるい。わたしも」
小屋から出てきたステラがとてとて近寄ってきてだっこの催促をするので、ニナを右手で、ステラを左手で抱き上げる。
羨ましそうにするラッツに順番だ、少し待ってろ と言うとコクコク頷いた。
あ、そうだ…家が決まったことを皆に伝えないとな。
「そういえば今日、新しい家を見てきたんだ。まだ手続きが残ってるから、明後日に皆の服を買ってから一緒に行こう」
この時の俺は少し浮かれていたんだと思う。
『戦乙女』という新しい生活の別の意味での不安要素のことを、完全に失念していたのだから。
――――――――――
(変な意味で)不安を煽る終わり
『戦乙女』の登場はもう少しお待ち下さい。
それとコメントの返信が遅くなってすいません…
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