第2話 子供達


 イスカ……偶然……な、訳ないよな…。

 まさか俺の住んでる街に主人公が居るとは。


 こういうゲーム内に転生する話のお約束としてまず。

 転生先は主人公以外のモブ、悪役、TSしてヒロイン。 …最後のはあんまりないか。

 悪役の場合ストーリー通りに進むとシナリオ上死んでしまう為、出来る限りメインキャラには絡まないようにする。とかあるけど、自分の立ち位置もこの先のストーリーも分からない場合はどうしたらいいんですかね?


 なんて、答えは簡単だ。

 己の心に従って思うままに行動する行き当たりばったり


 例えこの先、主人公イスカに関わったことにより俺が死ぬようなシナリオが待っていようとも、俺がこの子達を助けない理由にはならない。


 あ、勘違いしてほしくないんだが別に進んで死にたい訳じゃないぞ?

 ただ、やれることをやらずに後悔しながら生きるのは御免だってだけ。




 その後、二人に彼等が住んでいる家に案内してもらった。 スラム街の外れにあるボロボロの小屋。 窓の部分には当然硝子なんか無く、サイズの合ってない木の板が嵌めてある。 壁も所々穴が空いており、木の板で修繕した後がある。(出来てない所の方が多いが)


 小屋の前まで来るとイスカが


「あの…ちょっとだけ待っててもらえますか? 先に皆に事情を説明してきますから」


 そう言って小屋の中へと入っていった。


『スラムの孤児なのに言葉遣いが~』等と言ってはいけない。 この世界はゲーム(多分)でファンタジー(ガチ)なのだから。


「あの…」


「ん? 何だ?」


 扉…というか木の板を嵌めただけの出入口の前で待ってるとフィオが話かけてくる。

 考えてみたら、彼女まで態々外で待つ必要ないんじゃないだろうか…?


「改めて…本当にありがとうございます」


 フィオが深々と頭を下げながらそう言った。


「あのな、さっきも言ったが治せる保証は無いんだ。 お礼はちゃんとお前達の家族を助けることができた後で言え。 それに……俺が本物の悪人じゃない保証もないんだぞ。 もしかしてお前達の住処まで案内させて”家族 ” もろとも、奴隷商に売り払うつもりかもしれない」


「それでもです…私達の言葉に耳を傾けてくれましたし。 それに、グレイさんが本当に悪い人ならそんなことは言わない筈…です」


 甘いな…信じるに足る根拠も無いんだぞ。

『本当の悪人』ってのはどんな手も使うし、息をするように心にもないことを言う。


 イスカもフィオも本当にスラム育ちなのだろうか? いや、本当の親や兄弟は居ないとは言っていたがスラム育ちとは言ってないな。



 ……ま、止めとこう。 他人の身の上を興味本位で詮索するもんじゃないよな。


「あの……もしかして気を悪くしてしまいましたか?」


 フィオが心配そうに声をかけてくる。

 いかん、どうやら考えこんでいたらしい。


 何でもない…と、答える前にイスカが小屋の中から出てきた。


「えと、お待たせしました…どうぞ入って下さい」


「ああ、それじゃ邪魔するぞ」


 小屋に入る前に不安そうな表情のフィオに、考えごとをしていただけで別に怒ってはいないことを伝える。


「そう…ですか、よかった…」


 あれだ、そんなに俺は不機嫌そうに見えるのか…?

 いや自覚はある。 グレイとしてこの世界に生まれ変わってから、ずっと言われてきたことだし。


 でもしょうがないだろ……そういう顔なんだから。


 小屋の中に入るとイスカとフィオの他に4人の子供が居た。


 一番上が11か12歳位の茶色く長い髪の少女。


 その少女に抱かれている同じ茶色い髪のまだ幼い少女。


 その少女の足に隠れてこちらを見ている赤毛の少年。


 そして部屋の隅で寝ながらうなされている紫色の髪の少女…あれが病気の家族か。


 しかし本当に子供しかいないんだな…。


「あのう…あなたがイスカちゃんやフィオちゃんに頼まれて、ステラちゃんの病気を治してくれる人……ですか?」


「ああ、まあ……治せるかどうかは分からんが、できる限りは何とかしよう」


「まあ、本当に……あ、ごめんなさい。まだ自己紹介してませんでした。 わたしは…――」


 この一番歳上の少女がアリアメル。

 アリアメルが抱いていた少女がニナ。(髪の色は一緒だが別に姉妹ではないそうだ)

 赤毛の少年がラッツ。

 で、寝ている紫色の髪の少女がステラというらしい。


 俺も簡単に自己紹介をして、早速病気の症状を教えてもらおうとステラに近づく。




「…っ?!」


 これは……まさか


 苦し気に開かれた口から覗く小さな牙に白い肌……。


「なあ、変な質問をするがステラの瞳は何色だ?」


 俺の質問にアリアメルが答える。


「えと…赤色です。 ステラちゃんの眼はとても綺麗なんですよ」


「そうか…」


 間違いない、このステラという少女はヴァンパイアだ。 ハーフかクォーターかは分からないが。


 ――――――――――


 間違えて書き貯めする前に1話を投稿してしまいました……




















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