第23話 実家
翌日、先触れをして実家の王都別邸に行く。別邸に着くと、父上、母上、妹をはじめ、屋敷のスタッフ5人が勢揃いで出迎えていた。
「殿下に「父上母上、お久しぶりです。」」
久しぶりの実家は、何も変わってないようでよかったと思ったらみんなの態度がおかしかった。
「……みんな、今まで通りでいいよ、態度が変わると寂しくなる。」
「だがなぁ、お前は我が国の王族で将軍だぞ、木っ端な男爵家とは格が違う。」
「だけど、久しぶりに帰ってきた実家でそんな態度取られちゃあ、骨休めにならないじゃない。」
「しかし――――。」
「しかしも案山子も駄菓子もない!私がいいと言ってるから、いいんだ!」
「……わかった、いつも通りにしよう。お帰り、クリス。」
「ただいま、お父さん。」
ようやく実家に帰ってこれた。
「お姉ちゃん、お仕事どうだった?」
リビングでお茶を飲んでいると、妹が来て聞いてきた。
「リリー、ここに座って。そうね、前線は殺伐としてたわね。まあ、あれだけ叩きのめしておいたらしばらくは攻め込めないんじゃないかな。お城の方は……、休む間もなく忙しかったけど、優秀な秘書を見つけたから大分楽になったわ。ま、どっちにしろ機密が多くて詳しいことは話せないんだけど……。」
リリーを横に座らせ、話を聞いてあげる。
「じゃあ、お城にいるんなら、お姫様にも会った?」
「ええ、会ったわよ。と言うか、私もお姫様になっちゃったし。」
「おおー。じゃあ、お姉ちゃんの妹の私もお姫様?」
「うーん、リリーはお姫様じゃないかな。私は色々面倒臭いことの積み重ねでお姫様にされたけど……。それに、リリーにはこの家を守ってもらわなくちゃいけないから、お姫様になっちゃうと、お姉ちゃん困っちゃうな。」
「わかった。お姉ちゃんみたいに強くなって、私がこの家を守る。」
「リリー頑張ってね。……あ、そうだ。今度お城に遊びに来たら?お姫様にも会えるわよ。」
「ホント!いいの?」
「ええ、私から呼ぶからその時にね。」
「やったー」
喜ぶ妹にほっこりする。
「よかったのか?そんな約束して。」
「あ、お父さん。」
リビングに実父である、ウォルスター男爵が現れた。
「しかし、まだ嫁に行っていないのに、嫁に行ってしまった気分になる。」
苦笑いしながら、向かいに座る。
「ま、家を離れて王宮住まいになっちゃったからね。」
「そうだな。……ところで、リリーを王宮に連れていけば、面倒に巻き込まれるのではないのか?」
「……縁談とか?」
「もうすでに20件以上来ている。中にはうちに男子がいないことから養子の話も来ているが、まあ、大半がこの前の大粛清でいなくなったがな。」
「あ、やっぱり。まあ、その対策として王宮に呼ぶのだけど。」
「ん、どういうことだ?」
「それは、リリーが、そしてウォルスター家自体が王家の庇護下にあるようにするためね。私だけじゃなく、もう一人の妹と王妃と仲良くなると、手を出しにくくなるでしょ。あとうちの家格が一つ上がるわよ。」
「は?」
「隣の男爵家が潰されたでしょ。そこを貰えることになったわ。」
「なぜうちなんだ?俺はそんなに活躍してないぞ。」
「あー、実は隠していた実績がバレちゃって、その褒美だって。」
「はあ!?」
「フェリシア王女の誘拐事件の報告してない1回分。」
「……はあぁぁぁあ!?」
「次の王国会議の時に発表だって。ちなみに拒否できない。」
「だからと言って、なぜうちが……。」
「私が王家に入っちゃって私に褒美を渡せなくなっちゃったからね。代わりに実家に褒美を出すことになったってこと。」
「そうか、面倒だな。」
「ねぇ。」
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