第12話 王妃様のお茶会
ある日の午後、王妃様より王太子妃候補としての公務でお茶会のお誘いがあった。
公務として呼ばれたため、しっかりとドレスを着込む。太刀持ち兼(王妃の)護衛として女性騎士を連れて行く。
「王妃様、王女様、ウォルスター男爵家令嬢クリスまいりました。」
「いらっしゃい。よく来てくれました。」
「お姉様、いらっしゃい。」
王妃様の前でお姉様呼びはいいのかよ、王女よ。
「”まだ”お姉様と呼ぶのは早いでしょ。一応ちゃんと見極めてからじゃないと。」
「でも、お姉様はお姉様と呼んでいいって言ってくれました。」
「あら、ならいいわね。」
王妃様もそれでいいのか。さすがに笑顔がピクピクしてるのがわかる。
「まあ、とりあえずお座りなさい。楽しいお茶会なのですから。」
「はい。」
王妃様に促され、席に座る。
お茶会はつつがなく進んでいく。
「そう言えば、フェリスは何故クリスちゃんのことをお姉様と呼んでるの?」
「お母様、それは――――。」
目をキラキラさせてるフェリシア王女。
「お姉様が私がピンチになると助けてくれる憧れの人だからですわ!」
あ、これ熱弁を振るヤツだ、1時間ぐらい。止めよ。
「3回も拐われた時に助けますからねぇ。」
うち1度は先日の式典で、その時、王妃様も連れ帰った場にいらっしゃった。
「えーと、そんなに助けていただいていたのね。」
「なので、お姉様なのです。お姉様が男性だったらよかったのにと何度思ったことでしょう。」
「確かにそれは男の人だったら誰でも惚れますわね。クリスちゃんが男だったら間違いなくフェリスと婚約してもらいますね。――――クリスちゃん、女装している男性じゃないわよね?」
「いえ、私、女性ですから。」
「残念ねぇ。もし男性ならフェリスを女王にしてクリスちゃんを王配にしたのに……。」
おう、女装男子疑惑からの王配ルートですか……。まあ、私は女性なんで関係ないですけど。
「お母様、性転換の薬ってありましたっけ?」
「…………残念ながらないわね。」
おーーーーーい、まさかの性転換からのルートですか!性転換の薬がなくてよかった……。
「まあ、この話は終わりにしましょう。ねぇっ。」
「そうね、それなら、クリスちゃんがどうやってフェリスを助けたか詳しく聞きたいわ。」
「まあ、それなら――――。」
武勇伝を話し、お茶会は続いていった。
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