膿抜き
第5話 お茶会のお誘い
翌朝、軍司令部の執務室に向かっていると……。
「ウォルスター閣下ですね。」
「あ、はい。何でしょう?」
「姫様よりこちらを。」
侍女が持ってきたものは招待状であった。
「少し待ってくださいね、確認してお返事を書きます。こちらへどうぞ。」
侍女を執務室に案内し、王女様からの招待状を確認する。お茶会の招待をしたい、日時は何時でもいいと書かれており、スケジュールが合うかはこの手紙を持ってきた侍女に確認するよう書かれていた。
「あの、スケジュールを確認したいのですが、今日の午後は大丈夫ですか?」
「姫様のご予定はありません。」
「では、返事を書きます。今日の午後お邪魔するので、準備をお願いします。ところで、お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「私のでしょうか?」
「はい、殿下へのお手紙を託す方には、ちゃんとお名前を言って託したいですから。」
「そう……ですか。私、ウェンディと言います。」
「ウェンディさんですね。ちょっと待っててください。今書き上げます。」
私は大急ぎで手紙を書き上げ、封蝋をして侍女ウェンディに渡す。
「ウェンディさん、これを殿下にお渡しください。殿下には楽しみにしてますとお伝えください。」
「わかりました。確かに姫様に伝えます。」
「そして、これはウェンディに。」
ウェンディに銀貨2枚を渡す。
「え、これは……。」
「本来、私の手紙を殿下にお渡しすることは業務外ですからね。駄賃を兼ねたお小遣いです。」
「ええっ、そんなの悪いですよ。」
「いいんですよ。これは貴族の務めみたいなものです。侍女仲間の皆さんとお茶を飲んだりとかお菓子を食べたりとかに使ってください。」
「あ、ありがとうございます。必ず姫様にお渡しいたします。」
「お願いします。午前中はこの執務室にいますので、何かあったらこちらへ来てください。」
「はい、わかりました。」
ウェンディは頭を下げ、フェリシア王女に手紙を届けにいった。
サロンで読書をしていると、
「姫様、ウォルスター様よりお返事をいただきました。」
「ありがとうございます。」
お姉様からお返事が来ました。午後からならお茶会が出来るのですね。
「午後から楽しみです……。そうだ、お兄さまも呼びましょう。」
お姉様とお兄さまに手紙を送りましょう。
「ウェンディ、これをお兄さまに届けてください。大急ぎで。」
「はい、姫様。」
「フェリス、僕の事を呼んだかい?」
ちょうどお兄さまがサロンにやって来ました。
「お兄さま、今日午後からおね――ウォルスター将軍とお茶会をするのですけど、お兄さまもどうですか?」
「今日の午後か……、そうだな、午後3時から人と会う約束があるが、その前ならいいね。それに、僕も彼女には会ってみたかったし、ちょうどいい。」
「では、午後1時から2時くらいからお茶会をするということにいたしましょう。では、その旨を書いて将軍にお渡しいたしますね。」
「では、昼過ぎに来よう。場所はここでいいのか?」
「いえ、今日は天気もいいので中庭の東屋で行おうかと。」
「わかった、ではまた後で。」
お兄さまがサロンを出た後、お姉様宛に招待状をしたためます。お姉様とのお茶会楽しみです。
王女様から再び招待状が送られてきた。午後1時過ぎからということと、王太子殿下も来られるという。
そういえば、昨日の襲撃者の尋問が終わったそうだ。やっぱり帝国の間者だった。予想通りだったので、”誰”が引き入れたのか、引き続き洗い出し、制裁を与えて、王国内の引き締めに当たろう。
それはそれとして、お茶会楽しみだな!
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