第4話 国王と王妃と宰相

本日3話目

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 宴の後、私は国王に呼び出されていた。宴の前に宴の後に来てくれと言われていたのだが、たまたま王女救出の後になっただけだ。


「陛下、将軍ウォルスター参りました。」

「うむ、入れ。」


 国王の執務室には国王以外に王妃と宰相がいた。


「ウォルスター将軍、先程は娘を助けてもらい感謝する。」

「いえ、軍人として当然のことをしただけです。」

「それでも、娘を助けてもらった親としてはいくら礼を尽くしても足りん。ありがとう。」


 国王と王妃、それに宰相も頭を下げる。


「その言葉だけで十分です。頭を上げてください。」

「うむ、それはそれとして、後日褒美を与えることになるが、その件で呼んだわけではない。そなたを王太子妃候補として婚約するために必要な件だ。」

ですね。」

「うむ、将軍として活躍しているそなただが、男爵令嬢であるのではいくらなんでも爵位が低すぎる。よって、そなたの家を陞爵するにしても子爵止まり。伯爵まで上げようとしてもウォルスター家の功績自体そなたのもの、上げることは難しい。」

「そうですね、我が家は元々交通の要所ではあるけど小さな男爵領、これ以上発展のしようがありませんね。」


 ウォルスター男爵領は猫の額ほどの領地に町と農業用地が犇めいており、周りも王都や他の公爵、侯爵、伯爵領に囲まれており、広げる余地がない。これ以上爵位を上げるには当主か次期当主が功績を上げるしかない。嫁ぐ予定の私じゃダメなのだ。


「よって、そなたをどこか適当な爵位の貴族の養女になってもらい、そこから王太子妃候補になってもらうこととなる。」

「わかりました。これから募集をかけると言うことですね。」

「そういうことだ、耳の早い貴族なんかはすでに申し込みをしておる。まあ、10日ほど待っておれ。」

「はい、ではその間にこの国のを出しきっておきます。」

「おお、出来るのか?」

「ええ、今捕らえたものや、調査済みのものがあるので、まずはそちらから処理しておきます。」

「よろしく頼む。」

「では、軍に捜査権と逮捕権を与えておきましょう。明日の夕刻までには準備できます。」


 宰相が口頭で処理する。後で正式な書類として軍司令部に送られてくるだろう。


「よろしく頼む。では将軍、養父母の候補が決まり次第追って連絡する。」

「わかりました。それでは失礼いたします。」


 そう言って、私は国王の執務室を後にする。




「エレナ、グランツ、どう見る?」


 将軍が退出した後、王妃と宰相に聞く。


「そうですね、芯がしっかりした女性といった風に見えます。フェリスに聞いた話では、優しくてかっこいい女性と言ってましたね。義姉にするなら彼女がいいと言ってます。」

「軍務はそつなく問題ありません。戦闘力に関しては我が国最強と言っても過言ではありませんね。指揮能力も超一流。更に先見性まであるので、もし王太子妃になれなくとも宰相の座をお譲りしたいですね。」


 人となりも政務能力も問題ない逸材みたいだな。私の意見も同じだ。


「では、どこの””に入れる事にするか。」

「政治的には私の実家は不味いですね。」

「私の養女にするのも問題があります。」

「では、応募してきた家で見繕うしかないか。」

「まあ、陛下に反感を持つ貴族は外していくことになりますね。」

「うむ、彼女を迎えることができる貴族がいればいいのだが……。」


 悪い予感しかしない――――そして、そのとは……。




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明日より次章に入り、次章の終了まで毎日1話公開します。

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