第8話 社長候補、現在2名。あ?専務もだ!

 真子ちゃんは超ご機嫌。

 牧を連れてお買い物。

 東君はうずうずしてる、実験したくて。


 ごめんね、東君。私の人生でこんなに嬉しくて堪らないことはないの。

 牧に服を買ってあげることができるなんて夢を越えてる。お父様ありがとうございます、超純水を作ってくださって……。


「ば~ば。どこいくの?」

「都市部の百貨店」

「牧、高い服いらない」

「じゃあ、どこ行けばいいの」

「工場近くの古着屋でいいの、いや古着屋がいいの」

「え~、ば~ば、お金いっぱい持ってきたよ!」

「ありがと。下着は新品を買ってね!」

「いいわよ」

「牧は会ってすぐにば~ばってわかった」

「私はごめんね。わからなかった!」

「それは9歳で死んだんだから14年たってるもんね。超純水っておじい様がお作りになったやつなの」

「そうよ。変身出来るのよ」

「ふ~ん、東君が変身して牧になるんだ」

「そう。だから東君にはずっと変身しててもらう(笑)」

「アハハ。かわいそう。同じクラスの同級生なのよ。彼には内緒だけど好きだった」

「え~!」

「内緒よ」

「はい。着いた。ここでいいの?」

「充分よ。服買うの14年、いや殆ど初めてだからうれし~」

「真子ちゃんもうれし~」


 死亡して今は身分不詳の孫のRe:誕生は女性とはいえ、近い将来の次期社長候補として充分過ぎると真子ちゃんは皮算用していた。


 牧子は1時間くらい服を着ては脱ぎ着ては脱ぎしていた。かわいい、死んだ時の悲しさが吹き飛んだ。



───────────────────♡


 洗浄室を入ると、山口が話しがあると言い出した。


「いいわよ、何?」

「僕、正社員の登用試験を受けようかと思っています」

「お~、いいじゃない。受けなさい」

「それには推薦状が必要なんです。それを真子さんに書いてほしいんです」

「……でも、それ直属上司が書く決まりじゃなかった?」

「そうです。でも山田チ-ムリーダ-にはお願いしたくないんです」

「どうして?」

「…………」

「まあ、私でいいなら書くよ。確認させて」

「はい、ありがとうございます」

「あと試験はSPIとプレゼンよね」

「それは問題ないです」

「え?実際の作業の改善をプレゼンするのよ」

「そんなの意味ないです。(団体行動に伴うセクショナリズムの弊害)をプレゼンするつもりです」

「あんた大学出?」

「SW学院大学です」

「そんな人が何でこんなところにいるの?」

「いろいろありまして。もう一回てっぺん目指して頑張りたいと思っています」

「てっぺん?…社長を目指すということ?」

「そうです。今、50歳ですから55歳までにはなりたいです。そして10年たって65歳で退職します。そして嘱託社員として洗浄の仕事に戻りたいです(笑)」

「すご!」


 山口が急に自分を出してきたぞ。そのへんの派遣社員とは訳が違うとは思っていたが…


 誠社長にメールしないといけない。

「社長候補、2名発見。一人は男性で賢い。もう一人は女性で超かわいい。どうする?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

超純水・真子ちゃん 嶋 徹 @t02190219

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ