第9話:私が考えるひきこもり支援 ②

結果として、押しつけられてしまった周囲の人からすると今ぶつかっている人に自分の意見を言えないことで、自分で考えていることをなかなか具現化することが難しく、相手よりも良い物を作ってしまった場合に相手が逆上してくる可能性があると思わざるを得なくなる。このような風潮は日本でしか経験したことがないと海外の方々が話している。なぜなら、海外では引きこもりになってしまうことに対して、支援をする傾向にあり、会社などが原因で会社に勤めることが出来なくなった場合に、会社側が社員の労働を妨げたということですぐに調査をされて、場合によっては罰金を払わされることもあるようだ。つまり、海外では人材を失わないように企業努力や国家の支援などを拡充させているのだ。その結果、離職率も低く、福利厚生もかなり手厚くなっている。一方で、日本では福利厚生だけとっても企業間格差が表面化し、福利厚生がきちんとしていないと人材が集まらないだけでなく、人によっては一時勤務地(新しい就職先が見つかるまでの仮就職)として考える人もいる。


 私は。引きこもりの人たちを社会に出すのではなく、彼らの能力を段階的に活用し、在宅ワークで素敵な企画などを提案していただきたいと考えている。これは、引きこもりの人たちというのはかなり頭が良いため、「こういう商品を作りたいからどんなイメージがあるか教えてほしい」とメールなどで伝え、期限を決めて企画書を作成してもらう。ただし、彼らにはダメ出しをするのではなく、気になった部分を抽出し、再度「この部分のイメージはこういう感じだからデザインパターンを作ってほしいと頼むことで、1つの製品がいくつものバリエーションを放つ製品に様変わりする。これは、引きこもる人たちというのは生真面目という共通点があり、いわゆる真面目に何でもこなしていく。そして、物を作るときにも時間をかけてしっかり認知されるような作品に仕上げていく傾向にあり、自分自身はこのような人たちを潰してしまったことを後悔しなくてはいけないのではないかと考える。ほとんどの人たちからするとこういう人たちに対する偏見などを持つ人もいるが、むしろそのような偏見が社会上から素敵な担い手をさらせてしまっていることを認識しなくてはいけない。そして、そのような人たちであっても復帰できるのはごく一部となっており、その他の方々に関しては復職や再就職などの社会復帰することが難しい場合もある。特に要因となる事象が“人間関係”や“ハラスメント”などの場合にはなかなか会社との連携の際にフラッシュバック等を起こす可能性もあり、一番は信頼をしている人を間に挟み、仲介してもらう形で少しずつ社会参加の経験を積んでいくことが大事だと思う。特に、“即戦力”や“好印象”といった会社にすぐに寄与しなくてはいけないという風潮がある日本では経験を段階化するのではなく、通過点として捉え、自分たちのペースに持ち込んでしまう場合もあり、状態が改善して社会復帰しても再び逆戻りしてしまうことも問題だ。


 特に引きこもりの人というのは社会に対しての信用がほとんどない場合が多いため、頑張って手に入れた就職先においても以前に起きてしまったことが不安要素となり、自分で自分のペースをつかむ前に相手にペースを持って行かれると、仕事が遅くなるなど業務に少しずつ影響が出てくる事があり、それらの起きた事態に対して、自責を繰り返してしまう。その結果、再び体調を崩して休職などに追い込まれてしまう。


 現在は多くの企業でテレワークが少しずつだが導入が進んでおり、“会社で行わなくてはいけない”から“いつでもどこでも気軽に仕事が出来る”という働き方改革に近い動きが可能となる。もしも可能なら、この勤務スタイルをこのような人たちにも適用できる環境を整備し、家にいながらきちんと仕事を与えられているという成功体験を積み重ねることで時間を要しても会社まで公共交通機関などを利用して出勤できるようになる。

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人は“引きこもる”のではなく“我が身を守る” NOTTI @masa_notti

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