第7話:このような人たちの役割 ②

これは、いわゆる“職場内の人間関係に何らかの影響が出ている。”という状態にあるのだ。大抵の社員でも人間関係に苦しむことはよくあることだが、仕事に対する熱意だけが空回りしてしまい、周囲からの信頼を得ながら仕事をする事は出来たとしても、その仕事の効率などに対して周囲から不満を持たれ、関係が悪化することで孤立してしまう。仮に、周囲にフォローを頼んでも快く引き受けてもらえるような関係の社員がいないと、失敗してしまったことが全て自分に返ってきてしまう。それらが繰り返し起こることで自らの精神安定を図ることが難しくなっていき、状態が深刻化してしまい、再び会社を含めた社会から離脱しなくてはいけないと思うようになってしまう。


 現代は精神疾患などで職場を離職している割合が増加している。しかし、ほとんどは労災認定を受けることなく闇に葬られてしまう場合も多く、中には会社側が解雇したにもかかわらず、自己都合扱いで処理されてしまい、会社が要因であると認定されても会社側には社会的制裁や法の執行等は出来ない状態にされてしまうのだ。そのようなサイクルを生み出してしまっている現状をなんとか改善するためにも何らかの形できちんとした労務管理や違法操作などが起きないよう名環境を整備しなくてはいけないだろう。


 そこで、私の考えたのは勤務記録自動管理システムだ。これは、各都道府県に設置している労働基準監督署の本署を設定し、本署の中にその都道府県にある企業、店舗等(従業員を雇用している店舗に限る)の勤務記録を一括管理し、勤務状況や特例申請の遵守などの労働基準法ならびに労働衛生法に抵触する部分、届け出をしている労働賃金をきちんと支払っているか、勤務超過を隠蔽していないかなどの法令違反や臨検の際に行政処分などを逃れようとする行為がないかなどを厳しく管理する。


 これは、社会復帰の話もそうだが、人材の健全化と労働環境の改善などの社員の業務に従事する際に不利益を被ることがないよう、大量離職などの何らかの組織的問題の発生に対する予防策として構築しておかなくてはいけないと思っている。よくある事例としては、実際に労働基準監督署に提出している内容と実務内容が異なっている、労働協定など遵守違反などにより複数の協定が適用されている、契約協定よりも超過残業もしくは超過出勤をしているなど労働者が労働衛生上不利益を被る可能性がある場合に即座に老僧基準監督署が把握できる判断材料として取得することが可能となり、行政指導や行政処分の際に証拠としても活用できるだけでなく、異議申し立て等を行い、不当な解雇などを受ける可能性のある立場の弱い社員に対してもこのシステムを活用することで、労働基準監督署側から法的拘束力のある対応をしてもらえるという安心感が生まれていく。


 その結果、労働衛生が要因となる精神疾患等の発症を抑えることだけでなく、契約違反を暗黙の了解として捉えなくてはいけない状況にあった風潮に風穴を開けることが可能となる。

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