第5話:引きこもり対策の課題 ②

だからこそ、このような方々を支援して仕事をさせたいと考えることも理解できなくはない。しかし、その人の状況や状態、現在に至る経緯などをきちんと把握した上でやっていただきたいと考えている。


 その他にも精神的な疾患等により、対人が苦手であればテレワーク型の事務や文章作成などを行うことも大事だろう。これからは労働に関しては柔軟な働き方を提供できるようにし、補助金や年金などに頼ることのない生活を出来るように社会からも当事者に対して働きかけをする必要があるように感じる。現在は、働かなければ対価はもらえない。だからといって、働きたいと思っている人が働けないのは少し矛盾を生んでいないだろうか?みんながどんな形であれ、働いている事が幸せを感じるのだろう。まして、解雇やリストラなどに何度も遭っている人や一度も就職したことない人など境遇が様々な分、各々の格差などは少しずつで良いが、改善していかないとこれからの労働人口も減っていくことになるため、人口減少に伴い、円滑な運営や経営などが立ち行かなくなる。それだけなら良いが、一歩間違えれば、働いている従業員や社員を路頭に迷わせてしまうという事態になりかねない。であるならば、段階的でもかまわないが、1度社会から離れていたとしても受け入れる用意をしなくてはいけない。


 今の日本は育てるのではなく、即戦力を求める傾向がある。その背景には人員不足という話もあるが、それはちょっと違うように感じる。私は労働環境の問題よりも社員をゆっくり育てる風潮がないため、すぐにでも戦力になって、会社の利益に貢献してほしいと考えているのだろう。しかし、それはまるで“あなたにはこれぐらいの能力を見込んでいるから早急に覚えろ”と言われている様な状態になっている。そして、社員側にしてみるとこの状況を打破するにはかなりハードルが高いと感じてしまい、やっと働けると思っていた気持ちに水を差し、働き始めから徐々に自信がなくなっていく可能性があり、この状態のまま仕事をしていても意味がないと感じてしまうのだろう。そして、その人材を失ってしまうのだ。この繰り返しを打破するためには国の機関なりがきちんと労働対価の算定を行い、適正な賃金支払いと手当割合の妥当性、労働対価の昇級進捗などの重要項目に関してはきちんと第三者が判断をしていかなければ賃金の支払いに対して不正や情報操作などを行う可能性も否定できない。現在は、賃金支払いに関してもトラブルが起きており、契約に相違があるなど会社との労働契約に問題がある場合には会社側に不利にならないように情報を操作し、社員に口止めを諮る場合も少なくない。もしも、この状況でひきこもり支援をしたいというのならこれらの課題を改善もしくは解決出来なければ再び負のスパイラルを生んでしまうのだ。


 これは決して周囲が悪いわけでも本人が悪いわけでもない。そこまで悪化させてきてしまった歴史的背景が大きいと考えている。この課題に関してはもう少し考える時間が必要になるだろう。

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