第3話:“脱”学歴社会を目指した結果 ①

日本は以前から“学歴主義”の一端を強く握っていた。その影響から、“良い大学に入ることで明るい未来が待っている”というフレーズを耳にすることが多かった。私が小学生の時から“良い大学に行かないと素敵な将来はつかめない”と言われてきた。そのため、周りの友人たちは進学塾や通信教育と行った学校よりも上のレベルの勉強をしていた。その結果、確かに良い大学に行くことで明るい未来を開けた同級生もいるが、暗い未来になってしまった同級生もいる。


 これは表裏がかみ合わない“ミスマッチリクルート”の影響だろうか?会社からの信頼を得るためには表向きは学歴ではなく、人物像や潜在的な能力ではかっていると言っておき、上からオブラートに包んで本質を見抜けないように加工しているのかもしれない。そして社会の型枠に利点だけをはめている状態では人材を確保出来たとしても、そこから潰してしまうリスクも同時に背負っている状態になっている。そのため、学歴を重視しすぎることで結果として同一視点が集まることで精密でかつ技術的な技能が集まり、改良段階であっても一定水準の規格で製品開発を進めることが可能となり、少しでも高性能な製品を作ることが可能となる。その技術力を構築するには学歴には代えがたい着眼点が必要だが、その要素となる人材を遠ざけてしまう傾向にある。そのため、似たような着眼点において、全ての物事が進んでいってしまっている傾向があり、新たな着眼点を定めることが難しい。もちろん、新しい製品を作るためには既存の技術を活かしつつ、新しいフォルムなどを形成することで新しい製品像が完成する。


 しかし、政治や大企業など視点を一点化するとわかりやすいのだが、ほとんどの議員や企業は有名大学卒業者が大半を占めていて、そのような人しか採用していないため、いわゆる上の人の気持ちは分かっていても、下にいる人たちの気持ちを考えることがあまりない。そのため、政治などで経済対策を話し合っても中心になるのは大企業の倒産を防止すること。理由は簡単で、大企業には有能な人材が集まっているため、倒産などに追い込まれてしまうと大きな経済損失を発生させることになり、経済的に大打撃となるからだ。しかし、大企業を守ったところで何も結果は生まれていかない。理由は簡単だ。大企業というのは家の構造で言うと“基礎・土台部分”で、上に骨組みや壁などを作って家を建てるのは協力会社や現場社という構造になっており、この下に入っている企業が倒産してしまっても大企業は生き残ることは難しいだけでなく、新たな取引先を決めなくてはいけない。しかし、その下にいる企業というのは大半が中小企業のため、人材不足や職人不足によりなかなか大量に発注をもらえたとしても対応が出来るかどうかが分からない。そこで、そこから下請けに仕事が回っていく。しかも、単価を下げて仕事を流していく事になるため、利益率も下がることになる。一番顕著なのは運送業の運賃だろう。以前によく言われていたのは「儲かるのは二次請けまででそれより下はただ働きに等しいくらいになっている」ということだ。もちろん、会社の大小にかかわらずその範囲までに入っている会社というのはそこまで多くない。むしろ、それより上を目指すには高度な運転技術や資格などが充実していなければならない。この手の業種の人員不足は深刻だと言われているが、理由としては規制緩和後に何も対策を練らないで事業者を増やしすぎてしまったことがこのような運賃崩壊や人員不足を招いてしまったと言わざるを得ない。特に、運送業にもそこから細分化されていくが、長距離の運転手さんに関してはきちんと最低給与などを決めなくてはいけないような気がしている。これは、最終学歴にかかわらずだが、労働対価と実労働が均等にならないと人は増えていかない。むしろ、そのように細かい部分できちんと改善なり、法整備を実行しないとドライバーの高齢化を招く可能性もある。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る