第2話:学歴社会は人を壊す ①

学歴社会というのを前面に出していない昨今ではあるが、裏を返すと未だに名残のような物が残っていることがある。例えば、大卒であれば職種は広がっているが、専門卒や高卒では少しずつ職種の幅が狭くなっていく。その状況を作り出している時点で、すでに人材確保の難しい状況は打開することは難しいだろう。大学を出たから、専門だから、高卒だからという先入観だけで判断することは仕事に対するモチベーションが上がらず、早期退職を選ばなくてはいけない状況になりかねない。今でこそ、学歴に対する認識は少しずつ薄れていっているが、表に出ていないだけで、かなりの大きな影響をもたらしている。学歴が大切だという風潮が蔓延していることで、幼少期から英才教育をしていたり、塾に通わせていたり、様々な習い事をさせていたりとどちらかといえば個性よりも社会になじむために“学歴“という特権を手に入れるために行っているようにしか見えない。そういう生活をしているとだんだんと性格が変わっていき、悪い成績を取ってしまうと親や先生から怒られてしまうため、何をしても一番になれば良いと考えてしまうのだろう。


 その結果、初めて会う人や同じ学校の同級生に対して、出来てしまう優越感を使って、いじめなどのやってはいけない行為を行ってしまうのだ。これは、誰でも経験するというが、なかなか経験するのは難しいように感じる。なぜなら、こういう行為は外因的な要因に加え、家庭内でのストレスが影響している場合や本人の精神発達上における劣等感を紛らわすために行う場合も少なくない。そういう背景を持つと一番怖いのは「学歴戦争」だ。うちの子は保育園から私立に入れて、良い大学を目指してほしい。と考える親もいれば、幼稚園、小学校、中学校と進路をどこから良い大学に持って行くかを考える。そこで起きるのは、就職活動をする際に記載が必要になる中学校以降の進路だ。現在はほとんどの履歴書の記載は中学校以降が基本のようだ。もちろん学歴が影響することで、友人を蹴落としてでも良い学校に受かりたい、良い学校に行っていないと不利になるという風潮を直に受けているだけで人の心理は変わってしまう。そこで、学歴や実績を積まなければ良い会社にも良い立ち位置も手に入れることが出来ない。そう考えるのだろう。しかし、これは大きな間違いであることは言うまでもない。実は学歴が先行している実態に触れるのは大学を卒業して、会社に入社したときだ。もちろんオフィス内には様々な学歴の人がいる。しかし、会社によっては有名大学出身者が多い場合と地元の大学を出ている人が多い場合もある。そのため、一概には全てにおいて学歴だとは言い切るのは難しい。しかし、そのような会社は人の入れ替わりが激しくなることもあるため、人間関係を構築する前に退社してしまうこと、他の会社にヘッドハンティングされてしまうことが多いのが現状だ。しかも、それはもちろん成績云々もあるが、どちらかといえば学歴や職歴で判断されるのが多い。つまり、学歴が良くて、成績も良くて、職歴に統一性があると有利に働く場合が多い。だから、良い大学には人が集中するが、あまり名の知られていない大学などには人が集まりにくいのはネームバリューを重要視するこのような風潮があるからだろう。もちろん、出身大学の採用実績がある会社には採用していただけそうな風潮はあるが、これだけは運なのかもしれない。


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