第6話 DD②

 私は参考書を熟読し、その指示通りにDDを進めた。


 まずはデートを重ねて、お互いをよく知り合う。

 自分のことをよく知ってもらうためにどんな会話をするか。

 少しづつ、手を繋いだり、腕を絡ませたりするタイミング。

 さりげなくデートコースを誘導する会話。

 夜景を見ながらいい雰囲気になって初キス。きゃー。

 そして、ついに素敵なホテルにチェックイン。


 そして……


「あのね、私、あなたとなら、いいかなって……」


 そういうと、彼も優しく肩を抱いてくれて、そして唇を合わせた。

 彼の手が私の服を剥ぎ取っていき、私の体を優しく包む。


 ついに私、実地監査されちゃうんだ。

 あの参考書通り頑張った成果。


 私の体、彼の相性にきちんと当てはまってくれるかしら?

 そう思いながら、私はゆっくり目を閉じて、体の相性を思う存分確認し合った。


 ……


 そして迎えた第4回講座。


「さて、みんな進捗はどうかな?しっかりと宿題をこなせた人?」


 はい、頑張りましたよ!


 私は堂々と手を上げたのだが……なんと手を挙げたのは私だけ?


「1人だけでしたね。でもそれでいいんです。実地監査まで行くためにはハードルが高いということが実感できたでしょう。正直、あの参考書だって、どこにでも売ってる当たり障りのない内容ですしね」


 え?あの参考書って、市販書籍?虎の巻じゃなかったの?


「なので、今日は本当の虎の巻を説明するからよく聞いておいてください」


 私が呆然としていると……


「あ、あなた。やはりセックス毎日希望なだけあって手が早いわね。第4回講座の講師をやってみる?」


 またみんなに笑われてる……


「結構です!」


 ……私は参考書通り頑張っただけなんですけど?

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