時間と言う名の消費社会。

月乃兎姫

第1話

一昔ひとむかし前ならば、真夜中まで起きているといえば読書やラジオが一般的であった。しかしそれも深夜のバラエティ番組が台頭し始めると、25時26時という時間帯が生まれ、今ではそれがネットによる虚像が大体を占めている。


 人は朝起き・夜眠るという生理学上、真夜中まで起きていることは実に不合理且つ不都合が生まれることになる。それと言うのもテレビや液晶モニターからもたらされる光刺激により、自律神経に多大な影響を及ぼしているからだ。


 それが今では現代病となり、視力の衰えはもちろんのこと、他人とのコミュニケーション障害や自らの精神にまで悪影響を及ぼしている。そうまでして人々は何を得ているのだろうか? 後に残るのは虚無感だけではないか? これは無意識下での生存競争であると私は思っている。


 周りの人間と共通する話題から遅れれば、自分一人蚊帳の外に置かれるという恐怖心、また時代から置いて行かれるかもしれないという自尊心のほか、意識的にまた無意識的にも自らの趣味嗜好・興味を消費しているにすぎない。


 言うなれば、現代は消費社会である。

 それも過度における大量消費情報社会。


 自分たちは、テレビやネットに上がっている情報を消費していると錯覚しているだろうが、実のところ消費されているのは自らの時間にすぎない。何かを生産するわけでも、何かを後世に残せるわけでもなく、ただ空虚なまでの時間を浪費する。


 ネット上ではそれを他人からの承認欲求であると紐解くが、私はそうではないと結論付けている。


 自らの健康や時間を害する……偏にそれは無意識下での生存本能であるのだろう。でなければ、頭の良いはずの人々がそうまでする理由にならない。

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