第290話 まずは勝利。
「うおお!首!首だ!首おいてけ!」
「出世と功績のチャンスだぞ!女性を救っても功績になると伝えろ!」
「雑魚怪物どもが!今さら命乞いしても遅いんだよ!あの女の子たちに地獄で謝れ!」
―――そこは血と屍の海だった。
怪物軍に包囲殲滅を行った竜皇軍は、降伏も決して許さぬ文字通りの殲滅を行い、怪物たちの屍の山を築き上げた。
極々少数を取り逃がした程度で、後は全て屍の山へと化した。
それを見て、ルクレツィアは血にまみれた剣を振りかざして勝利を宣言する。
「我々の勝利である!凱歌を上げろ諸君!!我々は怪物たちに勝利したのだ!!」
その言葉に、兵士たちは血にまみれた姿で一斉に歓声を上げる。
それはまさに大地すら揺るがせんほどの大歓声だった。
まだレギオンなどといった主力部隊は残しているだろうが、これは神聖帝国にも大きな打撃となるはずである。
当然、怪物たちの死骸はそのまま野ざらしのままである。
いちいち土に埋めてやるほどの情けなど存在しない。伝染病が流行る可能性もあるため、纏めて火葬程度にはしてやるかもしれないが、その程度である。
とりあえず、この場から離れて安全な場所に凱旋して占拠した村へと戻っていく。
戦争で疲労した軍に対して、奇襲か何かで襲い掛かってくるのではないか、と思っていたが、全くやってくる気配もない。
相手の嫌がることを徹底的に行うのが戦争であり、戦略である。
それを行ってこない神聖帝国は甘すぎる、もうまともに戦略を理解している人間自体もいないのだろう、とルクレツィアは心の中で考える。
もう諜報部からの連絡通り、この国の内部ではまともな人間が中枢部にはいないらしい。
落ち着いた村で次々と運ばれてくる戦果である怪物の首、首、首。
これらを評価して活躍した兵士たちにそれぞれ報酬を与えなくてはいけない。
さらに、女性たちを助けた兵士たちにも報酬を与えなくてはいけない。
人間の盾である女性たちは、布で包まれて回復魔術などで回復を受けているが、メンタルに対する深いダメージを受けている。
これらのフォローもしなければいけない状況に思わずルクレツィアはため息がでた。
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