第291話 レジスタンス

「はぁ~……。つっかえないですわね……。やっぱり人間など皆揃って無能ですわねぇ。」


 神聖帝国、帝都の王宮、その王座に皇帝でもないのに平然と座っているエイシェト・ゼヌニム。

 その目の前には、肉塊の怪物と化した大臣たちや将軍たちの意味のない悲鳴が響き渡っている。度重なる失敗により、怪物軍などを失った叱責を問われた彼らは、不死のまま肉塊となって苦しむ運命となった。

 そんな彼らを見ながら、もはやまともな人間な少ない魑魅魍魎の宴となった王宮を、スリットの入ったドレスで、雪のように白い太ももを見せて足を組みながら、王座に座っていた彼女は見下ろす。


「仕方ありませんわね。星の並びはまだ整っていませんが、我が主人にして、魔神龍サマエルを降臨する儀式に取り掛かりますか。

 まずはこの帝都全てを生贄に。そして、この神聖帝国全てを生贄にしてこの地上にサタン、サマエル様を再臨させるのです。」


 その彼女の呟きと共に、帝都のあちらこちらから騒ぎ声が聞こえてくる。

 何事か?と思った瞬間、一匹のゴブリンが飛び込んできて彼女に状況を教える。

 神聖帝国の軍の敗北を受けて、レジスタンスが帝都各地で蜂起したらしい。

あちらこちらから騒がしい音が聞こえてくるのは、レジスタンスが帝都内部で蜂起した音なのだろう。

それを聞いて、エイシェトは思いっきり舌打ちをした。


「全く面倒な。せっかくサマエル様降臨の儀の時に……。」


帝都に残っている怪物たちでは、到底暴徒を治める治安維持活動などは出来はしまい。

無能な人間どもでは、逆にレジスタンスに協力してしまうだろう。

サマエル様降臨の儀式を邪魔されたくはない、はてどうしたものか、と彼女は考える。


「……ふむ。もう皆レギオンの餌になってもらいますか。元々、この帝都全てはサマエル様の生贄になる予定。

レギオンたちに食べさせて、そのレギオンを生贄に捧げるのも合計したエネルギーは大差ありませんわね。」




 

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