第272話 一門でも多くの砲台を!
竜皇国では、戦争を行うために物資・食料の輸送が大量に行われていた。
武器・弾薬・砲台・砲弾・食料・馬などとにかくあらゆるものが竜都へと運び込まれているのだ。
今回で神聖帝国との決着をつけるという上層部の強い意志を感じられる。
辺境拍ルクレツィアとその精鋭も竜都入りし、シャルロッテ及び竜都周辺の兵力も総動員されている。
それらを纏め上げて訓練していくのはやはり、歴戦の将軍であり兵士でもあるルクレツィアである。
竜機を単騎で叩きのめしたその実力に疑問を持つ兵士などいない。
彼女の指揮下の元、竜皇国の軍は纏め上げられつつあった。
食料の方も、ティフォーネが大釜の負担を賄うようになって、さらなる大量生産が可能になっている。
あまりに魔力が強すぎるためクールタイムが必要なほどだが、その程度は彼女にとって軽く動く程度の疲労しかならないらしい。
「それで~。あの魔導高射砲をバンバン生産していただきたいんですけど~。
もちろん、魔力充電も並みの魔術師でも可能なように改良していただいて~。」
そんな山のような書類仕事に埋もれているセレスティーナに対して、笑顔でそうしれっと言い放つルクレツィア。
本人も竜皇国の軍の事実上のトップという忙しさにも関わらず、そう平然として言い放つ彼女に対して、セレスティーナもさすがに額に青筋が浮かぶ。
「あのですね……。いま私はクソ忙しいって見て分かりますよね?そんな余裕なんてありませんよ。」
「こっちだってシャレや冗談で言ってるんじゃねぇんですわよ~。兵士の命がかかっているんですから、こっちも真剣で言ってるんですわよ~。何とか手段とかないんですの?」
確かに彼女の瞳は真剣そのものである。
本当はもっとじっくりと魔導高射砲の大量生産を行いたかったのだが、この連戦によってそれどころではない、というのが正直なところである。
溜息をついたセレスティーナは設計書と魔術塔への立ち入り許可を彼女に手渡す。
「はぁ、仕方ないですね。そちらを魔術塔の高位の魔術師・錬金術師に手渡してください。私やシャルロッテからの懇願であとで代償を渡すといえば協力してくれるでしょう。量産・改造は彼らに頼んでください。私は暇ではありませんので。」
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