第260話 食料・物資の輸出
さて、実際のところ魔導帝国が食料を求めているというのはリュフトヒェンたちによっても都合がよかった。
地脈の力と天候制御によって、竜皇国は食料危機から一転して農業国へと変貌するポテンシャルを秘めているが、ここに”大釜”の力まで加わると豊作で農作物の販売価格が減少してしまう豊作貧乏になる可能性が高いからである。
あまりに豊作だと野菜の販売価格が下がってしまい、人件費などが販売価格を上回ってかえって貧乏になってしまうというという需要と供給のバランスが崩れてしまうからだ。
だが、他国に大きな需要が存在すれば、その分だけ食料を作って送り込めば需要と供給のバランスが取れて大きな儲けになる。
それ自体はリュフトヒェンたちにとっていい出来事だが、ただ相手の弱っているところに付け込んでいるだけでは、向こうから大きな恨みを買うだけである。
『というわけで、初めは飴玉を転がすために”大釜”からの食糧を無償で支給しようと思ってるけどいいかな?』
『いいんじゃないの?それにそれだったらどんどん行った方がいいでしょ。
ガンガン物資を送り込んで復興需要はこちらで丸儲け!ウハウハよ!ってなったほうがこっちもありがたいしね。こちらの物資支援を行うけど、そちらの大辺境内部から木材やら何やらも搬送して送り込んだらどう?そっちの方が儲かるでしょ。』
西洋では建築物は石材というイメージがあるが、木々なども使用されることもある。
そして何より木の重要な使い道としては、燃料としての使い方である。
再建のために鉄などを鍛え上げるための多大な燃料、傷付いた人たちなどを温めたり、都市の再建などに必要な燃料。これから多大な木材が必要となるため、売れないはずはない。
こうして、魔導帝国の再建に力を貸しながら、その際に発生する復興需要や食料需要などに乗じて金を稼ぎ、自分たちの国を豊かにしていく。
それがリュフトヒェンたちの企みなのだった。
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