第259話 新皇帝誕生
「さて、両竜ともご苦労だった。我々を守るために戦ってくださって感謝しています。この魔導帝国新皇帝であるゾーンが礼の言葉を述べさせていただきます。」
そう言うと、ゾーンは深々と頭を下げた。
そう、皇帝から位を譲り受けた彼は、この魔導帝国の新皇帝へとなったのである。
しかし、その実情は散々たるものだ。
ご自慢の竜機は多数破壊され、軍事力も大分落ちてしまった。
おまけに国内は未だ大混乱状態であり、これを何とか納める必要がある。
つまり、貧乏籤を引かされたにすぎない。
(もっとも、元皇帝も流石に責任を放り捨てて投げ捨てるというのは無責任すぎると思ったのか、しっかりと後見人として支えるらしい。)
『うむ、礼は受け入れよう。だが、これ以上我たちの手を借りようとなれば、それなりの代償を捧げなければならない。それは理解しているな?』
リュフトヒェンはゾーンにそう言葉を放つ。ただでさえ、他国の状況に肩入れしているという面倒くさいことを行っているのだ。
これ以上、この国のために働いてくれ、というのも正直勘弁してほしいところだ。
「理解しています。ですが、今我々の国が荒れているのも事実。移民や難民がそちらに流れ込むのを防ぐためにも食料支援などをお願いしたいのですが。」
むう、とリュフトヒェンは考え込む。確かに竜皇国には”大釜”が存在する。
しかも地脈の影響により、作物が豊作である以上、貧窮しているところに高く売りつけた方が儲かるのは当然である。
しかも、傷ついた人々が多く存在するのであれば、こちらの作り出したポーションも高く売れる。悪くはない取引である。
「それと代償なのですが、落ち着いた暁には、皇帝位をそちらに正式に移譲するのはどうでしょうか?これならそちらも正式に皇帝を名乗ることができます。
そして、この魔導帝国も魔導共和国としてそちらの国と同盟を結びたいと思っています。」
確かに、竜皇国はリュフトヒェンが勝手に起こした国であり、権威もなければ周囲の味方の国も存在しない。
この国が共和国となってこちらに力を貸してくれるのなら願ったり叶ったりである。
リュフトヒェンは頷いてどの提案を受けることにした。
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