第254話 ノーボディと複合属性大魔術
《あ、ああ!あああああ!》
片肺のエンジンを失っても、ノーボディはなおリュフトヒェンたちに迫りくる。
それに対して、リュフトヒェンも機動で対抗するが、さすがに生物である以上、人間よりは遥かに強いGに耐えられるが限界はある。
二体の竜はハイレートクライムを行い、ぐんぐんと急上昇していくが、それに対してノーボディは軽々とそれについていく。
急上昇によってかかるGにより、二体の竜の体にかかる負荷はどんどん増していくが、何とか耐えていく。
その間にも、その機動性で後ろに張り付いたノーボディに対して、魔術球から雷撃やレーザーの攻撃を仕掛けるが、それもグルグルと機体を回転させながら回避していく。それを確認しながら、リュフトヒェンとアーテルは左右に分かれて飛行する。
二手に分かれてこちらを攪乱させるつもりか。無駄なことを、と思いながら、ノーボディはアーテルの方を追いかける。
《おお!追い詰められて本気を出したようじゃな!全く始めから冷静になってその機動力で戦いを挑めばいいものを!変に自意識が残ってるのも不便なものじゃな!!》
そうせせら笑いながら、猛烈なGに耐えながらもアーテルは後方に張り付いたノーボディに対して、魔術レーザー攻撃を仕掛けていく。
アーテルは必死でGに耐えているというのに、ノーボディは破損した機体で楽々とその攻撃を機体を回転しながら回避していく。
ぐるり、と空中に大きな円を描いてノーボディから逃げ回るアーテルに対して、リュフトヒェンは、直線、斜め、直線と別に敵に追われているわけでもないのに、後ろから飛行機雲を描きながら、奇妙な機動を取る。
そう、それは五芒星。彼らは機動を利用して大空に巨大な五芒星を描いていたのだ。
《シュタイフェ・ブリーゼ・シュラーク!!》
リュフトヒェンのその詠唱と共に、五芒星内部の空間中に猛烈なソニックウェーブと真空刃、そして強力な雷撃が荒れ狂い、五芒星内部に存在する敵を切り刻み、雷撃で焼き尽くす。
風の大魔術と雷の大魔術との複合魔術。
さらに、これにはアーテルの魔力も複合されているため、その魔力源であるアーテルだけはその攻撃を食らわないという優れものである。
いかに機動性が高かろうと、空域全体を攻撃する全体マップ攻撃は回避できない。
それこそがリュフトヒェンとアーテルの狙いだったのである。
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