第236話 戦術的勝利
『それじゃ、そちらも何とか終わったという事でいいの?』
辺境伯の領地も侵攻を受けたと聞いたリュフトヒェンは、飛行しながら鱗の通信で確認を取っていた。
同時に囮の攻撃で相手の目を引き付けるというのは、戦術の基本だが、いざやられてみると気が気ではない。
特にこの国はメインの航空戦力がリュフトヒェンとアーテルの二体なので、それが引き付けられている状態で、囮であっても複数の地点で戦いがおきると戦力的にきついということが明らかになった事例でもあった。
『はい~何とか~。もっとも高価な魔導高射砲も壊れてしまって大損ですが~あの高射砲が対空だけでなく、通常の戦闘でも大きく役立つことは解りましたわ~。じゃんじゃん量産していきたい所ですが…。ともあれ、修理をお願いしますわ~。』
自分が連射させて砲身が焼き付いたことはおくびにも出さずに、しれっと彼女はそういい放つ。これくらいの強かさがないと辺境伯などやっていられないのだ。
『了解。セレスティーナをそちらに派遣するわ。ところで、そちらの考えを聞きたいんだけど、これから魔導帝国はどうすると思う?』
そのリュフトヒェンの疑問に、少し考えた後でルクレツィアは返答を返してくる。
『そうですわねぇ……。恐らく、これがかなりの戦力を投入しての作戦ですから、それを完全に退けた状況は軍部のメンツ丸潰れですわね~。さらにやけになった軍部が大規模な軍事作戦にでるか、それとも穏健派が追い出しにかかるか…。』
『いずれにせよ、向こうも追い詰められているのだから、一気呵成に軍部を叩き潰すのがこちらにとっては最善かと~。
今回の作戦がこちらの大勝利であることを報じて竜機を鹵獲したのも大々的に報じれば、さらにメンツ丸潰れですから、向こうの穏健派と協力して軍部追い出しとかいいのでは?』
『……でも、それって向こうからすれば国外勢力を引き込むことになるよね?』
古今東西、国内の問題を解決するのに、外国勢力を引き込むと悲惨なことになるのは変わりない。
国内が内戦になるか、支配下に置かれるか、どっちにしろろくでもないことになるのは目に見えている。
『まあ~そうですわね~。シャルロッテ様と連絡して穏健派の状況を確認するのが一番ですかね~。』
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