第222話 軍部の企み

一方、魔導帝国の軍部派の重鎮たちは、薄暗い地下室の会議室で作戦会議を開いていた。


「ううむ、穏健派の奴らめ、皇帝を抱き込むとはな。

それだけでなく大貴族もかなり向こうにつくとは。」


「奴らめ、皇帝をたぶらかし、我らを脅威だとそそのかし、あまつさえ皇帝の位を放棄させようとするとは!断じて許しがたい!!」


ドン!とその重鎮の一人は、拳をテーブルに叩きつける。


「奸臣どもめ!奴らを放置しておいては、この国が帝国ではなくなってしまう!

そうなれば我らの大義名分がなくなってしまうではないか!

何としても阻止しなければならん!!」


忠臣ぶってはいるが、要は帝国でなくなれば彼らの利権が大きく損なわれるというだけの話である。

帝国の現在ならば軍事予算は大量に降りてくるし、国土を広げるための侵攻も許される。そうして戦いに勝てば軍部の権力はさらに肥大化する。

そんな好き勝手し放題の美味しい場所を喜んで手放す奴など存在しない。


「奴らを黙らせるためには我々は常に勝ちづつけなければならん。

だが、あの竜皇国の陣地を突破するのは骨が折れる。

迂回をしていては、竜たちが駆けつけてきて奇襲を受けるかもしれん。」


「ですが、我々なら突破できぬ陣地などない!地上と空、同時に進攻されてはひとたまりもあるまい。辺境伯の領土に深く進攻できれば、竜皇国を分断できる。」


現在、竜皇国は大まかに3つの勢力に別れている。

竜都近辺と旧帝国領土を統治するシャルロッテ、旧帝国からの辺境伯の領土を維持しつづけるルクレツィア、そして大辺境を開拓しているリュフトヒェンとアーテルたちだ。


特にルクレツィアの領土は、竜都と大辺境を繋ぐ立場であり、ここを進攻されると真っ二つに国が両断されてしまうことになる。

そうはさせじとルクレツィアは奮戦しているのだ。


「しかし、あの堅固な陣地に真正面から挑むのも犠牲が大きい。そこで私に提案があります。陣地を大きく迂回して、山脈を超えて竜都にた直接攻撃を仕掛けるのです。」


魔導帝国と竜皇国の間には、山脈が存在しこれがない比較的平地が辺境伯の領土へと繋がっている。

この山脈を超えて直接竜都へと進攻しようというのだ。

その案に、その場にいた皆は全て賛成した。





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