第221話 サマエル復活の素材
場所は変わって神聖帝国のとある地下空間。
空間を歪めて作られたその広大な空間、数キロにも及ぶその空間に横たわる巨大な肉塊が存在していた。
どくんどくんと脈打つそのおぞましい肉塊は、巨大な生物の心臓を連想させた。
混沌竜エキドナの核から採取した細胞を培養し、ここまで再生させた巨大な肉塊には、次々と老若男女問わず捕らえられてきた人間や亜人たちが突き落とされ、それらを飲み込んでいる。
また、一方では苛烈な拷問を行われた人間たちの苦悶の叫びや、苦しみに満ちた血液を肉塊に垂らし、それらも飲み込んでいく。
それら人間たちの悲鳴や絶望の声を聴きながら、セイシュトは喜びでその妖艶な口元をにんまりと歪める。
「ふふふ、今更教皇庁などが動き始めたようですが、遅いですわね。
エキドナの核を培養・再生させたサマエル様を降臨させる素材は出来上がりつつあるわ。混沌竜エキドナの細胞の塊なら、サマエル様を降臨させるのに絶好の器。
サマエル様さえ降臨させれば、この地上全てを薙ぎ払ってみせるわ。」
教皇庁は皇帝の冠の剥奪を行うらしいが、そんなことは彼女にはどうでもいいことだ。所詮、この国はサマエル復活のためのただの生贄にすぎない。
皇帝も貴族たちも完全に酒池肉林に溺れて洗脳されており、国土全てをサマエルの生贄に捧げても何の問題もない。
むしろ、国土と国民全てをサマエル復活のために捧げても、皆大喜びで従うだろう。それに反発したレジスタンスの力は活性化しているが、所詮取るに足らない蟷螂の斧にすぎない。全く諦めればいいものを、と彼女は思う。
「とはいうものの、未だ完成率はたったの20%ほど……。
この状態で向こうから襲われると厄介ですわね。やはり、魔導帝国を嗾けて竜皇国と戦わせて共食いを狙ったほうがよさそうですわね。」
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