第203話 秘密警察組織の設立
『……本気なの?』
特別な何十もの防御術式に守られた秘匿回線用に開発された水晶玉。
専用回線である竜の鱗ほど安全ではないが、大達人であるセレスティーナが独自にカスタマイズしたその水晶玉の通信は、同じレベルの魔術師でもない限り盗聴はできまい。
そこから聞こえてくるシャルロッテの声に、セレスティーナは頷いた。
「はい、亜人過激派に資金や資材提供を行っていたのは、間違いなく神聖帝国でしょう。
これからも神聖帝国は、亜人過激派を作り出すために活動を行う。私たちは断固としてこれを阻止しなければなりません。」
『だからと言って竜神殿に秘密警察組織を作るなんて……。バレたら非難食らうわよ?』
そう、セレスティーナの考えは、秘密警察を竜神殿内部に作り出し、市民や亜人過激派などを密かに監視するというのだ。
すでに各地に竜神殿は建設されつつあり、人々の生活にも馴染みつつある。
この世界において、信仰は生活と強く結び付いている。
その人々を神殿が監視すれば、確かに効率よく監視はできるだろう。
様々な噂話から怪しい動きをしている人物を割り出し、排除することも可能だ。
『まあ、何処の組織も清廉潔白な組織はないけど……竜皇は承知してるの?』
「いえ、これは完全に私の独断です。問題になったら私が責任を負います。」
リュフトヒェンからのみ好意を向けられていればいい。後はその他大勢から非難を浮けてもどうでもいいし、知ったことでもない、と言うのがセレスティーナの考えである。
だがそれは、「何をしても彼なら許してくれるだろう」という甘えの感情から来るものだ。
しかし、わざわざ指摘するのもアレなので、シャルロッテは黙っておく事にした。
『まあ……いいけど。で、諜報組織のノウハウを渡せっていうの?ただ、ウチも建て直し中だから、それなりの物しか渡せないけど?』
「それで結構です。お願いします。」
『まあ……亜人過激派を排除するということは、人間たちにも配慮してくれるからありがたいけど……。』
秘密警察なんて市民の監視やら盗聴やら知られたら市民たちの不満が溜まりそうではあるが、人権など存在しないこの世界では、全く問題はない(上流階級的には)である。
「それより、竜都周辺はどうですか?亜人過激派も人類過激派も暗躍しそうですが。」
『まあ、小競り合いは起きてるけど大きな問題はないわね。そちらの竜信仰の教えが広まってるのが利いてるみたい。
ウチにも情報は提供しなさいよ?逆にこちらの情報も提供するから。』
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