第153話 ハイエルフ公国との友好条約
それからしばらくして、皆もようやく目覚めて、二日酔いに痛む頭を抱えながらそれぞれの仕事に戻っていった。
まあ、これで村の連携は深まったので、結果ヨシ!という感じである。
実際、村の初期からいる古参勢と新規に入ってきた人々とのぶつかり合いも多々あったので、それをある程度解消したこの無礼講は、最適な手段といえた。
古参勢からすれば、大量に入ってきて好き勝手やっている新入りたちは気に入らないし、その逆もしかりである。
だが、この無礼講の宴会で、新入りも古参勢もある程度は仲間意識が生まれて、以前よりはスムーズにいくようになったようだ。
やはり、人々を繋ぐのは「仲間」という意識であり、宴会によって外の人間から仲間へと変貌すればそうそうそれを見捨てられる人間はいない。
ともあれ、二日酔いに痛む頭を抱えて、皆それぞれの仕事へと戻っていった。
それはセレスティーナ始め神官戦士たちやリュフトヒェンたちも同様である。
そして、戦いに勝っても宴会をしても、書類仕事からは逃げられない。
山のような書類に対して、リュフトヒェンやセレスティーナたちもひぃひぃ言いながら必死に書類仕事に従事していた。
『これやっぱり文字とか書ける人は誰でもいいから雇うべきだよな……!
書類仕事が終わらない……。』
「戦いに勝っても次に襲い掛かってくるとは世知辛い話ですね……。
あれですね。紙を転送する通信魔術機でも開発するべきですかね?」
『仕事がさらに増えるからやめて。』
ほとんど完成した竜神殿内部で、彼らは必死に机に向かって書類仕事を行っていた。
文字を理解できる神官戦士たちも総出で行っているが、それでもやはり足りない。
新しく増えた新入りたちに文字の読み書きができる人間がいたら片っ端からスカウトするべきだよなぁ。と思いつつハイエルフの使者が来ると聞いて、彼らは出迎えの準備を行う。
そして、準備を整えてしばらく待っていると、ハイエルフのリュートが竜神殿の中心部にある謁見室で恭しく王座についているリュフトヒェンに対して頭を下げる。
プライドの塊であるハイエルフが他種族に頭を下げるなど通常はありえないことだ。
それだけ、彼らも感謝をしてるのだろう。
「このたびは、ニーズホッグ分体を退治し、我らの里を救ってくださって礼を言います。竜様のおかげで我らハイエルフは救われました。
我らハイエルフ公国は、竜様の竜皇国と友好条約を結びたいを思っております。」
あの里のボロボロ具合なら、本来なら下について復興のため全面協力を仰ぎたいのだろうが、そこはプライドが山よりも高いハイエルフたち。
全面降伏など御免だ!という事で散々紛糾した結果が、友好条約を結びたいということなのだろう。正直、あれだけのボロボロでは国としては期待できないだろうが、ハイエルフたちのレンジャーとしての能力はほしいところだ。
こちらとしても否はない。
「それで、礼としては何ですが、里にあったミスリルの在庫をお礼にそちらにお譲りいたします。さらに世界樹の苗木もそちらに。
これを育てれば、地脈の操作を代わりに行ってくれますので、そちらにとって必要なものだと思います。」
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