第102話 怪獣大決戦
ずしんずしん!と大地を踏み鳴らしながら、巨大な怪物オドントティラヌスはリュフトヒェンたちの旅団を踏み潰して食らいつくすために、旅団へと迫りくる。
それを防ぐために、小型化していたリュフトヒェンもオドントティラヌスの前に出ると、同様の15mほどに巨大化してオドントティラヌスへと立ち向かう。
流石の怪物も、自分の全長の二倍ほどもある巨体の竜に対して、一瞬怯えた態度を見せるが、それでも牙をむき出しにして咆哮を上げる。
それに対して、リュフトヒェンもそれに負けじと咆哮を返す。
どこからどう見ても他所から見たら怪獣大決戦そのものである。
普段なら上空から魔術爆撃を行い、こちらが傷つかずに一方的に敵を殲滅するのが戦術的にも理想的なのだが、彼の後部には彼の守るべき民衆の人たちが存在する。
この状況では空に飛んで一方的に戦うことはできない。
吠えて突っ込んでくるオドントティラヌスに対して、リュフトヒェンはその三本角を両手で受け止めて刺されないようにする。
『ふんぬぁー!!』
オドントティラヌスの突進を受け止めて、ずずず、と何とか踏み止まるリュフトヒェン。そしてその角を受け止めながら、両手の掌から雷撃を解き放って、オドントティラヌスにダメージを与えるが、その程度で止まるほどの怪物ではない。
雷撃を受けてもその程度ではビクともせずに、オドントティラヌスは自らの牙を涎をまき散らしながら、ガチガチとかき鳴らす。
リュフトヒェンは尻尾をオドントティラヌスに叩きつけていくが、それでも攻撃は通じてはいないだろう。
アーテルはリュフトヒェンが近接格闘戦に長けていないという事で、幾度か格闘戦は行っていたが、それでも経験が疎いことには違いない。
もっと近接格闘戦の訓練を積んでおくべきだった、と思いながら、リュフトヒェンは一度オドントティラヌスの角を離す。
そして、再度突撃してきたオドントティラヌスを回避しながら、オドントティラヌスの首をヘッドロックして、ぐぐぐ、と強く締め付ける。
そして、さらにリュフトヒェンは首を伸ばして、オドントティラヌスの肉体へと噛み付き攻撃を決行する。
竜と異なり、鱗に覆われていない肉体は容易く牙へと食い込んでいく。
肉を切り裂き、血が自分の口内へと入ってきて鈍い鉄の味が伝わってくるが、それでも構わずにリュフトヒェンはさらに噛みつきとヘッドロックを強めていく。
首絞めと傷によってオドントティラヌスは悲鳴を上げてのたうち回っていく。
そのまま、リュフトヒェンは首絞めのままジャイアントスイングの応用でオドントティラヌスを振り回し、大きく放り投げる。
『おらぁあああ!!』
悲鳴を上げながら、オドントティラヌスは放り投げて近くの森へとずしん!と倒れこむ。それでも、噛まれた血をまき散らしながら、オドントティラヌスは重々しく立ち上がる。
「ガァアアアアッ!!」
オドントティラヌスは獣のように四つ足で地面を疾走しながら、木々を踏み砕き、再度リュフトヒェンへと迫りくる。
象のような巨体でありながら、まるで犬のような俊敏性で、四つ足で疾走するオドントティラヌスに対してリュフトヒェンはしっかりと、両足を土につけて、両手を天に向けて迎撃態勢に入る。
『おおおおっ!!』
口を開けながら突撃してくるオドントティラヌスに対してリュフトヒェンは自らの鉤爪を、オドントティラヌスの口中へと手刀もどきを叩き込む。
さらに、リュフトヒェンは口中の舌を掴みながら、無理矢理顔を引き上げて、無防備な首を片方の鉤爪で切り裂く。
さらに何度も鉤爪で首部分を引き裂いていき、その傷から多量の血を噴き出したオドントティラヌスは、ついにぐらりと地面に倒れ、そのまま息絶える事になった。
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