『山の中にある家』 中


 だいたい、地底行きの穴を転がり落ちたらば、物理的に、無事に済むわけがありません。


 それが、たいして、怪我もせずに、底まで到着するんだから、SF映画とか、お話しというものは、いい加減なものなのですね。


 そこで、ここでも、やましんさんは、無事にどこかに行き着いたのです。


 それは、美しくも、渋く、広大なお庭に囲まれた、ばかでかいお屋敷でした。


 広い、お池もあります。


 でも、やましんさんには、ここには、覚えがあったのです。


 そう、遥かな昔し、たしかに、来たことがある場所です。


 また、作者は、書いたことがある、と、思いますが、なんのお話しだったかは、にわかには、思い出さないです。


 しかも、一回ではない。


 少なくとも、二回は書いたように思いますし、別のネット部屋でも、さらに、あと二回は書いたように覚えております。



 『隠れ里だ。前にも来たことがあるな。』



 隠れ里というものは、日本各地に伝説がありますようで、また、海外にも、ある。


 日本の伝説の多くは、海外発のことが多いらしいですからね。



 創作も、もちろんあるでしょう。


 たとえば、コナン・ドイルさんにもあったからね。


 ドイルさんなら書いてよいが、やましんはダメ、ということは、ありますまい。


 

 『しかし、なぜ、ねんど山の中に、こんな隠れ里があるのでしょうか? これは、やはり、頭をぶつけたせいに違いないな。』


 やましんは、そうつぶやくと、ズボンや、上着を、ぱんぱんたたきながら、やっとこさ、立ち上がりました


 それから、もう一度、辺りを見回したのですが、変わりはありません。


 その、古風な屋敷は、きちんと存在するのです。


 しかし、例によって、人の気配はありません。


 人の気配はありませんが、屋敷は、どこもかしこも、開けっぱなしで、ステラーかいぎゅうさんみたいに、すきだらけでした。



 『あの〰️〰️。こんにちは。はろー❗ はわゆ〰️〰️〰️☺️。キートス。ハラショー。あらがとございます。』



 しかし、返事はありません。



 隠れ里の場合、上がり込んでも、叱られないことが多いらしいです。


 『そもそも、なんで、ここに来たのか? みさいるさんが、落ちてきたからだな。里は、どうなったのだろうか。上がりましょう。え、おじゃまします。』



 すると、さらに奥のほうの部屋から、なにやら、音が聴こえます。


 つつつ、と、部屋をひとつ、ふたつ、突ききると、到着した側の庭とは、どうやら居場所の違う、しかし、これまたやたらに、でかい豪華な庭に面した巨大な床の間があり、その、一段高い床には、なんと、とある有名メーカーの、大きな液晶ディスプレイが置いて、ありました。


 しかし、それは、華やかなりし時代の産物であって、いまは、ほとんど、世の中には無いものです。


 まして、稼働品なんて、めったに、ありません。


 どこから電気を取っているのかも分かりませんが、なんと、ちゃんと画面が映っております。


 しかも、それは、ねんど山からの、眺めに違いないのです。


 『な、な、なんと、これは、城下町みたいな。しかし、あららら。うあ〰️〰️〰️。やはり、核爆発したあ〰️〰️〰️。あらまあ〰️〰️〰️〰️。』


 閃光いっぱつ、城下町は、猛烈な熱線にさらされ、熔解するように燃え上がりました。


 大量の中性子が降り注ぎ、放射線に撃ち抜かれたでしょう。


 それは、かつて見た光景の再現でした。


 建物は焼けて無くなり、人々は、燃え上がりました。



 しかし、この屋敷は、ひたすら静寂に包まれております。


 どんよりとした空には、現実味がなく、太陽もありません。


 なのに、なぜだか、ぜんたい、明るい光に包まれております。


 外界とは、隔絶した世界のようでした。



 『やはり、ここは、天国かい? でも、天国に、こんなディスプレイがあるかしら。』

 


 すると、猛火に焼かれた街の映像が、突然と画面の半分に縮まり、代わりに、残った場所には、文字が現れました。


 『このままの世界でよければ、OK。いやなら、NO、を、入力してください。』


 『なんだあ。』


 やましんさんは、ふと、これまた、でっかい、床の間のテーブル上に、シンプルな、キーボードが置いてありますのに、ようやく気がつきました



 『はあ。これまた、もはや、消え去ったグッズですなあ?』


 やましんの世代は、まだ、知っていますが、大核戦争以降の人たちは、まず、見たことがない代物であります。


 『ならば、うち込んでやろう。』



 やましんは、『NO』、と、打ちました。



 すると、画面が、しばっ、と、かわりました。


 映像は、古い古い、いまはすでになき、京都あたりの写真になりました。



 『ならば、修正してください。』


 『なんと、あっさり、凄いこと、言ってくれるな。』 


 『どこに、行きますか?』


 『はあ? なんでしょう。』


 画面には、まあ、たくさんの項目が、つらつらあ〰️〰️〰️〰️〰️〰️〰️。


 と、並びました。


 

  ▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 


 『 こ、これは!』


 やましんは、驚きました。


 まるで、世界史の歴史年表みたいに、つらつらと、世界史の出来事がやまと、並んだのです。


 『修正したい項目を、ダブルクリックしてください。』


 『はああ? なんと、また。』


 『修正すると、歴史が変わります。』


 『のあんと? いや、それは、まずいだろ。さすがに?』

 


 『全体がどう変わるかは、やってみないと、わかりませんし、再修正はできません。』



 『これは、もしかしたら、ぼくは、恐ろしいことに、誘われているのではないか。』



 やましんは、体が、がくがく、震えて来ました。


 『また、変更をやりはじめたら、途中でやめることは、できません。最後の結論まで。しかし、いまなら、まだ、脱退可能です。脱退しますか? 進みますか? 脱退なら、OUTを、進むなら、GO、を、入力してください。』

 


 『むむむ。』


 やましんは、腕組みしました。



   ・・・・・・・・・・・・

 

 

             つづく


 

 


 


 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る