第51話 体育祭!?
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試験が終わってから早二週間が過ぎた、とある日。
HRの時間中だ。
華先生はチョークを持ちながら、こう話し出す。
「中間試験も終わったことだし、そろそろお待ちかねの、あの行事が始まるぞー。今日はそれについての説明と、役割分担について決めようと思う」
そしてそのまま黒板に文字を書き始める。
華先生が文字を書くたびに、俺の心は踊りだす。
だってよ……中間試験も何とか乗り切ったんだ。だからこの行事にワクワクしてもいいよな!
年に一度のビッグイベントだし!
華先生が文字を書き終えると、静かにチョークを置く。
先生が何を書いたのか。
それがこれだ。
『体育祭』
そう! あと3週間程したら体育祭が行われる!
中学の時にも体育祭を経験しているが、高校はさらに盛り上がる。何しろ人数が多いし、青春を謳歌する人にとっては、最高の行事だ。
体育祭をきっかけに付き合う人もいいし、高校時代の大切な思い出にもなる。
ここで盛り上がらなきゃ、人生損だ。
そんな訳で、俺達時乃沢高校の生徒は体育祭に向けて準備を進めている。
「よし。黒板に書いた通り、もうそろそろしたら体育祭が行われるわけだ。だが今年の体育祭から少し内容が変わる。うちと親睦が深い『
「えぇぇぇぇぇぇぇ⁉」
華先生の説明に、クラスのほぼ全員が驚き、口をポカンと開けた。
勿論、俺もその内の一人に含まれている。
星林学園は時乃沢高校の近くにある男子校だ。偏差値は結構高く、それなりの進学校でもある。
そんな星林高校とまさかの合同での体育祭を開催するとは……。
「まあ驚くのも分かる。だが他校の生徒と一緒に体育祭を行える機会なんて、滅多にないんだぞ? これも貴重な経験と捉えて、一生懸命頑張るんだ」
華先生はその後も続ける。
「でだ。場所は競技場でやるにして、色々と決めとかないといけないことがある。体育祭実行委員や、当日の係なんかを決めないといけない。クラス全員に役割が割り当てられる訳ではないが、それでもやりたい人は立候補してくれ! んー、じゃあまずは実行委員をやりたい人はいるか?」
華先生がそう言うと、スッと手を上げ立候補する人が二名いた。
しかも俺のすぐ近く。
一人目は隣に座るキラキラJK感溢れる女子、友里だ。
「先生! 私体育祭実行委員をやりたいですっ!」
続く二人目はというと。
「友里と同じで、私も実行委員をやりたいと思っています」
俺の真後ろに座る、見た目ロりだが中身はドSの古井さんだ。
意外だ。友里は何となく分かるけど、古井さんみたいなクール系キャラが、体育祭と言う行事に積極的とは驚きだ。
「おおー! 二人が立候補してくれるか! こりゃ助かるよ! 他に立候補者はいないみたいだし、二人で決定としよう!」
体育祭実行委員は友里と古井さんに決定だ。
うん。二人なら楽しい体育祭にしてくれそうだ。
楽しみだな。
ま、俺は二人とは違って立候補なんてするつもりはないが。
俺は行事に参加できれば十分。裏方をやるのは、興味ない。というか、俺は陽キャではなく、どちらかというと陰キャに分類される。そんな俺が、生粋の陽キャと一緒に準備とか無理だ。彼らが盛り上がっている脇で、皆をこっそり観戦できれば十分。
のんびりと一人で体育祭を楽しむとしよう。
「ああ、言い忘れていた。実行委員の二人には明後日に星林高校と打ち合わせをしてもらう。生徒会のひなみと一緒に、今後の方針なんかを決めてもらいたい。一年生で初めてのことが多いと思うが、ひなみと仲良く三人で頑張ってくれ。本来なら上級生がやるべきだが、会場の係員と打ち合わせがあるみたいだ。だから頑張ってくれよ」
「「分かりました」」
華先生の言葉に、友里と古井さんは返事をした。
どうやらひなみと一緒に仕事をするみたいだ。
ひなみは中学の時に生徒会長を務めていた経験があり、さらに高校一年生にして生徒会の役員でもある。
なんとも頼もしい。
しかも仲良し三人組が揃って同じ仕事をできるとは、運が良いな。
だが何故だろう……。
何かこう……、ソワソワするんだよな。
林間学校で班決めをする時もそうだった。
この三人が組み合わさると何か起きるんだよな。
まさか俺も巻き込まれるんじゃ……。
ないないないない。
ない!
ですよね、神様⁉
「いやー、しかしせっかく共学になったのに、女子だけというのは、ちょっとあれだな……」
そんなことを考えていたら、華先生が表情を曇らせた。
少し納得いかない。そんな顔をしている。
い、嫌な予感がする。
「やっぱ男子欲しくね?」
……。
俺はその言葉を聞いた直後、華先生からスッと視線を逸らした。
そして、そのまま顔を下に向け、存在感を消す。
た、頼む。華先生。俺の方を見ないでくれ。
他の男子に押し付けてくれ!
そう願う俺だが……。
神様は俺の願いなんて一切聞いてくれなかった。
「んー。男子校と共同で行う訳だし、三人のサポート役がいるべきだな。男の意見が分かる人がいたら、相手も頼もしいだろうし。よしっ! この三人と仲が良い慶道! お前に彼女達のサポート役を任せたい!」
ですよねー。
絶対そうくると思っていましたよ。
どうせまた俺になるだろうと思っていましたよ!
神様は俺の敵だもんね!
「やってくれるか慶道! 三人と一番仲が良いのはお前なんだ! だから任せたい!」
真剣な眼差しで俺をジッと見る華先生。もうね、その視線に圧があるんだよ。
これ絶対断れないやつだよ……。
はぁー。しょうがない。
「わ、分かりました。俺が彼女達のサポートを引き受けます」
「おお! 助かる慶道! さっすがだ! 仲良し四人で明後日の打ち合わせに出てくれ! 頼んだぞ!」
め、めんどくせぇ!
どうせ相手側の生徒はイケメン爽やか系男子が来るに決まっている!
俺なんかがいたら場違いだろ……。
本当、何で俺の青春はこうトラブル続きなんだ。
勘弁してくれ。
俺は天井を見上げながら、神様の野郎を恨んだ。
しかし。本当の災難はここからだった。
まさか……あんな計画を知ってしまうとは、思いもしなかったよ。
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