第10話 バレた!?

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 タイトル→「地下鉄で美少女を守った俺、名乗らず去ったら全国で英雄扱いされました。」

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――――――


 親睦会を通して、友達をもっと作ろうと思っていた矢先。

 不幸と名の雨が、俺の頭上にだけ土砂降りしてきやがった。

 思い返せば、破滅フラグ及び破滅イベントしか発生していないよな。

 それに加え、テーブルが同じだけでなくその席まで隣になっちまった。絶対にバレちゃいけないのに、その本人がすぐ隣で何食わぬ顔で食事をしている。

 はぁー、不幸だ。

 本来なら、こんな3人の美少女に囲まれて食べる飯は最高だ。

 だが、目の前に高級料理並みに豪華な食事が並んでいるにも関わらず、俺はちっとも美味しさを感じない。

 

「いにゃ~、まちゃかくじで決めちゃのに、結局いちゅ面になっちゃったね~」


 ピザを食べながらの友里の言葉は若干聞き取りずらいが、おおよそ言いたいことは伝わって来た。

 同じ面子で固まっちゃったね!っ的なことだろう。

 それにしても、友里って食欲旺盛なんだな。この4人の中で友里が一番食べているぞ。

 なのに、出る所は出て、締まる所は締まってんのか。

 男性の俺ですら、その体質にはちょっと憧れてしまう。

 しかし、友里みたいな可愛い子が頬一杯に食べている姿を見るのも、意外に悪くないかもしれん。

 友里の暴食ぶりに悪い意味で感心していると、隣から九条の注意が飛んできた。


「もう! 友里ってば食べ過ぎだよ。そんなに食べたらせっかくスタイルが良いんだから台無しになっちゃうよ! 女の子はすぐ太りやすいんだから、気を付けないと!」


 そう言っているが、九条本人もだいぶ食っている。

 友里が1人で食べたピザの枚数はおよそ5枚。それに対し、九条は4枚半。

 あんまり差がないと思うのだが。

 年頃の女子ってこんなに食うものなのか?

 俺の妹は対してそんなに食わないぞ。

 俺が疑問に思っていると、呆れた表情を浮かべながら、古井さんが2人を注意しだした。


「ひなみ、友里。2人ともだいぶ食べているから、もうやめておきなさい。それと、ひなみ。注意してるけどあなたもだいぶピザを食べているわよ。それ以上食べるとせっかくのスタイルが台無しになるわ。もう追加注文なし。いいわね?」


「えぇー、そうかな古井ちゃん? 私まだ4枚半しか食べてないよ! それにまだ食べないメニューがある!」


「5枚も4枚半も大して変わらないわよ。それだけ食べて、まだ胃に入るのね……」


 古井さんは深いため息をした後、何故か俺の目を見つめ、話を続けた。


「普通は構図が逆になるはずよ。食欲旺盛で絶賛成長期に入っているあなたがほとんど食べず、その代わりに何で女子2人が暴食をしているのよ。食べないとそのもやしみたいな体格から卒業できないわよ」


「い、いやぁー。朝飯が結構な量あってさ。すぐお腹いっぱいになっちゃったんだよね。あ、あはははは」


 勿論、今の言葉は嘘だ。純度マックスの嘘で出来ている。朝飯はいつも通りの量だったし、何なら常日頃から食欲は盛んだ。

 でも、さすがに九条が隣にいるのに、馬鹿食いしようと思えん。

 というか、別の意味で緊張しているから、食べ物が胃に通らない。

 バレたらどうしようというハラハラドキドキを前に、飯なんて食ってられるか。

 

「ふぅーん。最近の男子は随分と大人しくなったものね。それとも何か? 女の勘がさっきから語りかけてくるのよね。こいつには何か秘密があるって」


 鋭い!

 めっちゃ鋭い!

 女の勘恐ろしすぎるぞ!

 ま、まずいな。ここで変なことを言えば警戒されてしまう上に、問い詰められるかもしれない。

 そうなればアウトだ。九条が隣にいるこの状況で、ドエスから詰められたらもうお終いだ。

 冷静になれ。慌てるな。普段通りに答えればいける。

 俺はすぅーっと息を吸い込み、脈を整えた。

 そいて、古井さんの言葉にしっかりと答えた。


「別にやましい事なんて何もないよ。単純にすぐにお腹がいっぱいになっただけ」


「ふにゃ? いにゃ何か言っちゃ?」


 こ、この人……。

 人に質問しといて、それを忘れたかのように、ピザ半分を豪快に食していやがる!

 何急にどうしたの?っとでも言っているかの様な目つきで俺を見つめるな!

 食べることに夢中で、俺との会話内容忘れちゃってるよ。頭にどでかい?が出ているぞ。


「あらごめんなさいね。つい美味しそうなピザがあったから、夢中になってしまったわ」


「そ、そうですかこのドエス」


「今何か言ったかしら?」


「い、いえ何も……」


 今の愚痴は聞いてるのかよ。

 女子って怖いな、本当。油断も隙もありゃしねーよ。


 〇〇〇〇


 あれから数時間後。

 親睦会は終わり、俺は今自室にいる。

 結局男子の友達は1人も作れなかった。まあしょうがない。破滅イベントがいくつも続いたんだ。

 それを回避することに注力してたし、どうしようもない。

 

「はぁー」


 俺は疲れのあまりベッドにダイブし、ため息をついた。

 今日は色々あったな。

 友里と再会したと思えば、1000年に1人の美少女である九条とも遭遇。

 さらにはドエスな古井さんにまで目を付けられちまった。

 俺の青春ははたしてどうなるんだか。 

 この先が思いやられる。

 俺はこのまま夕食まで眠りにつこう。何か眠いし。

 そう思った矢先のことだ。


「涼! 同じクラスメイトの女の子から電話よ! ちょっと来なさい!」


 母さんの大声が家中に響き渡ったせいで、俺の脳が覚醒してしまった。

 俺のクラスメイトの女子から電話?

 どうやって俺の自宅の電話番号を知ったんだ?

 クラスメイトに教えた覚えもないし、学校で連絡網を貰った記憶もない。

 腑に落ちないが、まあ仕方ない。どこの誰か知らんが、俺を呼んでいるのは確かだ。

 自室を出て受話器の方へと向かい、俺は電話に出た。


「はいもしもし。涼ですけど」


 話し相手は一体誰なのか?

 多少のドキドキ感を胸に秘めていたが、相手の声を聞いた途端。

 背筋に悪寒が走った。


「あら、ど変態童貞野郎さん、こんばんわ。私よ、私」


「……え? 古井さん?」


 おいおい待て待て待て!

 な、何で古井さんが俺の自宅に電話をかけて来たんだ⁉

 なんか怖いぞ!

 何言われるか分からないし、不安要素しかない。

 マジで目的は何なんだ?


「名前を名乗っていないのによく分かったわね。さすがど変態童貞野郎だわ」


「俺のことをそう呼ぶの古井さんしかいないでしょ⁉」


「まあ、そうなことはどうでもいいのよ。あなたがど変態童貞野郎かどうかなんて、超どうでもいい話なのよ」


「いや……、俺としては超気にするんだが」


「無駄話はこの辺にして、さっさと本題に入りましょうか」


 昼食の時もそうだったけど、この人本当話を聞くタイプじゃないな。

 俺の意見ガン無視じゃないか。


「それで? 古井さんが俺に電話して来たよ用って何? ってかどうやって俺の電話番号を知ったの?」


「……そうね。あなたが私のお店に、を忘れたりしなければ、知り得なかったわ」


「え? 生徒手帳?」


「あら、気づいていなかったの? 自分の生徒手帳をお店に置き忘れたのよ?」


 ……あ、しまった。財布を出した時に、一緒に生徒手帳もテーブルに置きっぱなしにしていたな。

 完全にやっちまった。

 でも不幸中の幸いと言うべきか。

 生徒手帳には俺の個人情報が色々と記載されている。住所や氏名、携帯の電話番号だったり。

 それを悪用されていたかもしれないが、古井さんが拾ってくれたおかげで、危機回避はできたか。

 

「ごめん、古井さん。忘れていることにすら気が付かなかったよ。わざわざ電話で教えてくれてありがとう」


「いいのよ、別に。私って優しいからね。超優しいからね。悪魔が改心してしまうぐらい、心広くて優しいからね」


「いや、普通自分でそういうこと言わないでしょ。しかも3回も同じこと言ってるし」


 まあでも、優しいのは確かだ。

 こうして電話でしっかりと伝えてくれたおかげで、俺も気が付けたし。

 次会ったら、ジュースでも奢るか。

 

「ああ、そうそう。生徒手帳のことと、もう1つ言いたいことがあったのを忘れていたわ」


「え? 言いたい事?」


 何だ?

 生徒手帳以外のもあるのか?

 だとしたら一体何だ?


「生徒手帳を見て確信したわ。ど変態童貞野郎さん。君……」


 数秒の沈黙後、古井さんは強くこう言った。


?」


「……はい?」


 高校生活初日。

 新しい生活の幕開けと同時に、学生生活最初の山場が早くも訪れた。

 何でだ……。

 何でバレたんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!



―――

登校初日で早くも正体がバレた涼。この先どうなるのか……。


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