プロローグ

 さて、今回話しますは、静かな水、改め静かな塩水です。

 皆さん、水の事故の経験お有りでしょうか? 無い人もいらっしゃると思います。


 それは、きめ細かく優しい。だけど、力が強くまた、首も締めてくる。水とはそんな存在です。


 では、ショーの幕開けです。どれだけ人間が愚かで、強欲で、死ぬ事に恐れているか、ご説明いたしましょう。


 では、潮は満ちました。開演です。




 それは、黒く濁った重い水。この世のものとは思えない光景で、クジラが町を襲っている。

 蛇のように渦巻く濁流、崩壊する町。

 太鼓のように震えた地面。


「怖い」


 そう横にいる未来みくが言った。

 

 災害は訴えかける。

 面白いと思うのは、神々だけだろう。偽善の塊である人間。それらが呆気なく死んでいくのですから。


 開けた空は、いつもの通りに星が舞っていた。

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