第10話 義兄を変な目で見てしまう義妹
◆❖雪菜side❖◆
悠哉くんと花凜さんとの間にあった関係をを添木さんから聞いた私は、その日から悠哉くんを見る度、変なことを考えてしまうようになった。
「おはよう」
「お、おはようっ!」
具体的にはいちばん身近になった男子が、経験豊富ということについて。
悠哉くんって以外と大きいのかなぁ……。
花凜さんがぞっこんだったからもしかしたら凄いテクニシャンだったりして……。
「どうした?俺の顔になにかついてる?」
「ううん!なんでもないの!」
きっとこれはエロ同人作家の母の娘として生まれたせい!
決して私の変態性の発露ではない!
「なんでもないならいいけど」
「二人とも〜、そんな邪魔なとこで見つめあってないでご飯食べちゃってね〜」
お母さんは、なんだかニヤニヤして私を見てくる。
そんな調子で授業を受ければ、到底影響はあるわけで……
「稲原さん、この英文の和訳をしてください」
「ひゃ、ひゃいっ!?」
「私の話を聞いていましたか?」
「す、すみません」
と言った具合に授業のときは気もそぞろ。
心ここに在らずだった。
「あ、あの……相談なんだけど……」
どうにか四時限乗り切って迎えた昼休み、最近話すことも多い添木さんにどうしたらいいかと思い切って相談することにした。
「つまり私から話を聞いて以来、エロい目で悠哉くんのことを見てしまうと?」
「べ、別にエロい目なんかじゃないし?」
「太いのかなぁとか、テクニシャンなのかな?とか考えてるんでしょう?」
「な、なんで!?」
添木さんに考えてることバレてるし……。
実は独身術の使い手だったりするのだろうか?
「別にそれもいいと思うわ。思春期真っ只中なんだから」
そう言うと添木さんはニコッと笑った。
「でも一つはっきりさせて置くべきことがうあると思うわ」
「というと?」
「あなたは今、端的に言ってしまえば悠哉くんのことが気になる、そういうことでしょう?」
「そ、そうなのかも?」
こういうことって自分ではよく分からない。
「それがただ思春期だからそういうことが気になるのか或いは異性として悠哉くんのことを見ているのか」
「い、異性として!?仮にも兄妹だしつい先日出会ったばかりの男の子だよ?」
まかり間違っても惚れた腫れたの間柄にはならない関係だ。
「なら、答えはハッキリしているじゃない。あなたが変態だからということよ」
添木さんは断言した。
「うーん、やっぱり遺伝子か……」
ちょっぴり生まれの不幸を呪う。
お母さんのことは好きだけどね?
「遺伝子?どちらかの親がド変態とかかしら?」
「ド変態ってそんな直球で言わなくても……というかド変態ではないと思うの。ただ職業柄そういう一面もあるのかなって」
なんてったって私のお母さんの職業は泣く子も黙るエロ同人作家なのだから。
「失礼だけど、AV女優とかストリッパーとかかしら?」
「ちょっとというか……だいぶ違うんだけど……その、同人誌を描いてるの。それも義兄妹モノばっかり……」
ちょっぴり自分と悠哉くんをその関係に当てはめてしまう自分がいる。
「まるで悠哉くんと雪菜さんみたいね」
添木さんは面白そうに目を細めた。
「まぁでも、みんなそんなもんよ?だって年頃だから」
さもそれが当然のことのように添木さんは言う。
「添木さんも?」
「うーん、私は……そうね。たまにはそう言う気分の日もあるわ」
クールな感じの添木さんでもそういうことはあるのかぁ。
ならきっと私が最近、変な目で悠哉くんを見てしまうのもしょうがないことなのかも?
「そっかぁ。でも添木さんがそうなら安心したよ!」
人に話すと気分が楽になるなんてことはよくある話、添木さんに相談して良かったと思った。
私がこのところ、悠哉くんのことを変な目で見てしまうのは仕方ない事なんだってわかったんだから。
決して私だけが抱える変態性というわけではないんだから。
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