第4話 暴露

 「で、二人は仲良さそうだったけど知り合いかなんかなの?」


 いきなり確信をついてくる花凜の質問に内心たじたじだ。

 知り合いどころか家族ですなんて言おうものなら、花凜は「え〜ッ!?悠哉と雪菜は義理の兄妹なの〜!?」とか何とかこっちの気持ちも知らずに大声で言いふらしそうだ。

 言うなよー?という目配せを送ると雪菜は真剣な眼差しで頷いた。

 

 「えっと私、実は悠哉くんとは―――――」


 これ、ダメなやつだ。

 違うんだよ雪菜、どうしてそっちに勘違いしちゃうかなぁっ!


 「もごもご」


 慌てて口を抑えたので何とかセーフ。


 「ただならぬ仲みたいねぇ」

 「そんなことない!断じてそんなことは無いぞ!なんと言うか旧知の仲?っていうやつだ」


 頼むから話を合わせてくれ!拝むように雪菜の方を見ると、さすがに理解してくれたのか


 「あそうそう、幼稚園が一緒だったの!」


 驚くほどの大根芝居っぷりで話を合わせてきた。

 もうそれじゃぁ嘘ついてますって言ってるのと同じなんだよ……。

 そう言うと花凜は腕組みをして何かを思いだそうとするような素振りを見せた。

 お、これは騙せるか?

 そう期待するが――――。


 「あれ、でも花凜覚えてないなぁ」


 花凜は小首を傾げながら言った。

 アカン……これダメなやつだ。


 「私達おんなじ幼稚園だったよね?」

 「お、おう」

 「雪菜さん、幼稚園の名前言える?」


 疑わしいと言いたげな表情で花凜は雪菜を見つめる。

 幼稚園が一緒なこと、完全に忘れてた……。

 

 「え、えっと…」


 雪菜が困ってこっちに視線を送ってくる。

 こういうときは……うーん、紙とかスマホ使ったらバレるし……もっと原始的な手段で伝えないと……。

 俺は、雪菜の背中に人差し指で書くことにした。

 トンっと指をおくと


 「ひゃうんっ!?」


 驚いたような声を雪菜があげた。

 

 「ちょっと!?いきなり触んないでよっ!」

 「すまん、背中に書いて教えようと思って」


 小声で言い合うと花凜はため息をついた。


 「もう隠さなくてもいいんだよー?嘘ついてるのバレてるから。よっぽど、やましい関係なのかな?例えば……セフレとか?」

 「セフレ!?」

 

 突拍子もない花凜の言葉に反応して雪菜が思わず声を上げた。

 だがそれは、転校初日に女子が発していい言葉じゃない。

 なんだ?とクラスメイトの視線が集まる。


 「なーんて、冗談だよ冗談!」


 空気を読んだ花凜が上手い具合に、とりなしたことでクラスメイト達はそれ以上気にするのをやめた。


 「本当のところは何なの?最愛の幼馴染にも言えない秘密?」


 ニヤニヤしながら花凜が俺を見る。

 訂正させてもらおう。


 「最愛じゃないけどな?」

 「じゃあ、婚約相手の」

 「それも違うけどな?」

 「じゃあ――――」

 「しょうがない、素直に言うよ。いいよな?」


 一応、雪菜に同意を求める。

 雪菜はコクっと頷いた。


 「実のところは、義理の兄妹になったんだ」

 「で、どっちが姉?兄?」


 ふーん、と交互に俺達を見た花凜は言った。


 「俺だな」

 「私よ」


 見事にタイミングが重なった。

 すると花凜は


 「あはっ、面白い兄妹だねぇっ!」


 と笑った。

 兄妹だという花凜の言葉に再びクラスメイトの注目が集まった。

 だが今回は、誤魔化しようが無かった。

 後から思うとこれは、少し前に俺とのあった花凜が仕掛けた罠だったのかもしれない。


――――――

あとがき

――――――

いつの間にか7人からお星様頂いてました。

遅速なのに応援ありがとうございます😭

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