第2話 えっちなお手伝い(健全です)
「佳奈さん、お茶置いときますよー」
「ん〜助かるラスカル」
何でも今日から同居するらしいんだが(今日知った)佳奈さんは、死別してしまった母の部屋を自分の部屋とすると、早速仕事に取り掛かっていた。
「ん〜ここのセリフ何がいいかなぁ……」
佳奈さんは何やら作中のセリフに迷っている様子。
「何か俺でも役立ちそうことあります?」
いたってド素人の俺ごときがプロの佳奈さん相手に出来ることなんて無さそうだけどなぁ。
「ほんと!?手伝ってくれるの!?」
俺の提案に佳奈さんは結構乗り気だ。
「出来ることだったら」
「ふ〜ん、そうなんだぁ」
そう言うと佳奈さんは『台本』と書かれたノートを取り出した。
「じゃあねぇ、どっちが股間にキタか教えて欲しいの。ちなみにシーンは、義妹が主人公を痴女るところね?」
「いや、そういうのは――――」
俺の静止を気にも止めず、佳奈さんは口を開いた。
「それでは参ります。CV甘姦娘で、ver.1」
しかもver.1ってことは何回か聞かされるのか?
「あはっ、もうこんなにヌメヌメにしちゃって……待ちきれなかったの?」
そう言って佳奈さんは俺の股間を指先で小突く。
おいおい……演技にしては熱入りすぎだろ……。
「こんなダメダメおち〇ぽにはぁ、お仕置が必要みたいね」
これ結構、俺の精神的にくるものがある。
それが何かといえば、まず一つ目にモードに入ってる佳奈さんが、めっちゃエロい。
そんでもって二つ目に、そんなことを口走ってるのが自分の義母であることが辛い。
さらに三つ目に、俺の息子が反応したら負けるデスゲームであること。
「どうかなぁ?」
台本から目を離して、小首を傾げる佳奈さん。
「よ、良かったです……」
控えめに言ってめっちゃエロかったです。
などと言おうものなら、この人はさらに調子に乗りそうな気がする。
「こういうのは得意なんだぁ〜」
なんだろう、ラノベとかでヒロインが手料理を褒めてもらったときの反応みたいだ。
「じゃあ次いくよ!」
「あ、でもやっぱりこういうのはちょっと……」
俺も多感で健全な高校生、これはちょっと刺激が強すぎだ。
丁重に辞退させて頂こう。
「男に二言はないはずなんだけどなぁ……」
ニヤニヤと人の悪い微笑みを浮かべる佳奈さん。
「もしや完全な男じゃない?あ……ひょっとして男の娘志望?」
「どうしてそうなるぅ?」
どういう思考回路を辿ればそうなるのか。
「だって、男の子なら二言は無いでしょ?二言あるなら男の娘かなって思ってね〜。多分、化粧したら見た目は女の子になれそうだから悠哉くんも男の娘になれると思うよ」
世間一般に男の娘の定義って外見女子な男だろ?
この人の中での男の娘ってガバガバだなぁ……。
「そうはならないと思うんですがそれは……」
「まぁとにかく、男の子なんだから一度やると言ったことはやり通す、いいね?」
「あ、はい……」
仕方なく了承すると佳奈さんは再び台本を手に取った。
「気を取り直して参ります。CV甘姦娘で、ver.2」
またそこからやるのか……。
「あれぇ、どうしてこんなに大きくしちゃってるの?ひょっとしてこうして欲しかった?」
親指と人差し指で輪っかを作ると上下に動かす佳奈さん。
「
興が乗ってきたのか、上下運動を早くする佳奈さん。
頼むから誰か止めてくれ……。
これ以上、義母の痴態を見たくないッ!
するとそのとき―――――
「えっちなのはダメぇぇぇぇっ」
バンッと扉を開け放って雪菜が飛び込んで来た。
「あら……ゆき、聞いてたの?」
「廊下まで丸聞こえだよぉ!」
と言いつつ本当は聞き耳立ててたんだろうなぁ……。
近づいてくる足音とか聞こえなかったし、ずっと扉の向こうにいたに違いない。
「でも大丈夫、お母さん何にもやましい事してないから」
「本当?」
疑わしそうな雪菜の視線は俺にも向けられる。
「エッチなことシてたら衣服とか皺できちゃってるでしょ?でもお母さんも悠哉くんも皺なんてないわ」
「ほんとだ……じゃあ何してたの?」
「作品の制作に協力して貰ってたのよ」
佳奈さんがそう言うと雪菜は、それ以上咎めるのをやめた。
「前まで私にやってたやつね?心に、その……ち、ちん……男性器を持てとかわけわかんないこと言ってやってたやつだよね」
「そうそう、やっぱり男の子に聞いたほうが良い意見貰えるかなって思ってね?」
この脳内ピンク義母は、娘にもやらせてたのか……。
「でもやっぱり今日家族になったばかりの悠哉くんにそんなことするのは良くないと思うよ!?」
両手を腰に当てて怒ってますよ、とアピールする雪菜に佳奈さんは微笑んだ。
「なら、今日のところは終わりにするよ〜」
佳奈さんがそう言ったことで満足したのか雪菜は、俺の手を引いて廊下へと出た。
「お母さんがあんなんでごめんね?でも女手一つで私を育ててくれた人なの。だから嫌いにならないで?」
ちょっとぶっ飛び過ぎてるだけで嫌いになることなんてない。
やり方が多分間違ってるだけで、同人誌製作に関しても真面目に向き合っているってこともわかった。
だから嫌いになれるわけが無い。
「嫌いになんてならないから、安心してくれ」
「そう、なら良かった」
雪菜は、ホッと胸を撫で下ろした。
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