お昼に目が覚めたら雨が排水溝を流れる音が聞こえた。お昼なのに外は薄暗くて、まともに歩けないので手探りでリモコンを探った。

 ベットの横には読み終わった小説や漫画が積み上がっていて、ベッドから出ることすら億劫になってしまう。

 携帯を見ても特に何もなかったのでまた本を手に取った。しばらくするとつまらなくなったので漫画を手に取ったけどやっぱりつまらなくなった。今日はなんでもない日。なんでもないけどつまらない日。

 最近、こういう時間を過ごすと少しだけ悲しくなる。皆、友達だったり恋人だったりの話をするけど、そういうのが頭によぎってしまう。そして、少し悲しくなる。

 悲しいのは嫌なので音楽を流す。コーヒーを淹れてきてベッドの横の机に置く。相変わらずベッドから出る気はないけど自分の周りを好きなもので埋めてみる。子供の頃、川の字で寝てた布団の上にたくさんのおもちゃや本を持って掛け布団をかぶっていた時を思い出す。暑くて、息をしずらいけれど秘密基地みたいだったあの空間を。

 また、本を手に取って読み出す。心地の良いピアノとコーヒーの匂いが部屋に飽和する。

 今日はなんでもない日。なんでもないけどほんの少しだけつまらない日。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

閑話 浅井夏乃 @asainatuno

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ