一也の記憶編①~白龍再戦~
灰色のドラゴンナイトが巨大な剣を俺へ振り下ろしてきていた。
余裕を持って回避を行い、岩のように硬い巨体に向かって魔力を纏った金色の槍を突き出す。
ストーンドラゴンのドラゴンナイトは巨大な両手剣を持っており、防御は自身の体を覆う岩の肌に任せているのか、防具を何も持っていない。
剣をまともに受けると体が悲鳴を上げるので、パリィで受け流す。
槍を振るっている俺の後ろでは、レべ天が応援をしてくれている。
「一也さん! 倒さないと私の力が弱くなるので頑張ってください!」
「わかっているから黙ってろ!!」
最初は呪いかと感じたレべ天の加護だが、俺のためにレべ天ができる限りの能力でサポートをしてくれる。
この前の大会の時も、表彰式の時だけレべ天が俺の身代わりとなり、俺は黒い防具を着けて戦うことができた。
(頼むときに【レべ天】って呼ぶと絶対にやってくれないのがむかつく)
レべ天は自分の名前が気に入っているのか、俺がちゃんと名前を呼ばないとまったく協力してくれない。
一番使っている能力は、フィールドやダンジョンの位置がある大体の方向を示してくれることだ。
俺は勝手にそのことを【レべ天レーダー】と呼んでいる。
そのレーダーを使い、北海道以外の本島にあるほとんどのダンジョンやフィールドを制覇した。
残念なことに、桜島のようにまったく手の付けられていない放置された場所がなかったため、俺の見たことが無いモンスターが現れることが無かった。
ダンジョンにはっきりと見える守護者もいたが、レべ天やポセイドンのように特別な力を持っていなかったため、加護等はもらえていない。
そんな時に花蓮さんや真央さん達4人が大会までに強くなりたいと相談をしてきたので、俺の行った様々なダンジョンやフィールドへ放り込んだ。
ある日、花蓮さんの左腕が盾ごとモンスターに吹き飛ばされたことがあった。
昼休みを取らせるために向かった時、ちぎれた腕を持った真央さんとうなだれていた花蓮さんがいたので、【ホーリーヒール】を使って腕を修復してから、午後も戦闘を継続させた。
それからも何度か誰かの体が欠損した状態になったことがあるが、気にせずにモンスターを倒させ続けた。
(そのおかげで4人は予想以上に強くなってくれた)
ホーリーヒールは、キュアーとヒールを両方Lv10にすると使用できるようになる。
死亡以外の状態ならすべて回復できるようになるため、腕が吹き飛んだり体が半分になったりしても、死んでいない限り元の状態に戻せる魔法だ。
死んだ状態を回復できるようになるには、最上級スキルを習得しなければならない。
家でほこりがかぶってしまっていた金色の槍をきれいにしながら鑑定したら、【オリハルコンのトライデント】と頭の中に情報が飛び込んできた。
オリハルコンはミスリルよりも硬く、魔法効率が良い。
家で眠らせたままでは勿体ないと思ったため、今はこの槍をメインで使用している。
「ソニックアタック!」
攻撃を終えた後の灰色のドラゴンナイトへ高速の一撃を繰り出し、武器を弾いた。
俺は槍を構え直して、槍の連撃をあびせる。
「
硬い皮膚をもろともせずに、俺の槍がドラゴンナイトの体へ槍が食い込み続けた。
ドラゴンナイトから両手剣を奪い、急所へ向かってソニックアタックを行なって槍を突き刺す。
ドラゴンナイトがその場に崩れて消え去る。
しかし、俺の奪った両手剣は同じように消えることなく残っていた。
何度かダンジョンの主などの持っている武器が欲しいと思った時に、消えてしまう前に奪えば消えないことが判明した。
俺は2mほどある大きな剣と槍を持ったまま、レべ天を呼ぶ。
「天音! 先へ行くぞ!」
「わかりました!」
離れたところに座っていたレべ天は、俺が呼ぶと立ち上がって走ってやってくる。
来るのを待ちながら、今の戦いを振り返った。
ドラゴンナイトと戦う前には、錬気こそ使ったもののほとんど槍のみで戦った。
今日は槍の試運転のためにストーンドラゴンのみ1体倒して、灰色のドラゴンナイトと戦う条件を整えていた。
それにより習得できたスキルについて思い出す。
槍熟練度Lv5で覚えられる【ソニックアタック】は、高速の攻撃でどんな武器よりも速く攻撃できる。
Lv10で行えるようになる【五月雨突き】は、魔力により行なった攻撃と同じ威力の攻撃がLv回数分ほぼ同時に任意の方向へ放たれる。
(槍スキルの習得と両手剣を確保できてよかった)
レべ天が近づいてくるので、次の戦いのために武器を家へ送ってもらう。
「天音、これを部屋へ送って」
「はーい」
レべ天は俺の持っている武器へ手を触れたら、消えるように無くなる。
俺はレべ天に背負わせているリュックからグローブを取り出して装備をした。
レべ天はもの言いたそうに、半分ほどしか開いていない目で俺を見つめている。
「なんだよ」
「……なんでもないですよ。先に行きますね」
レべ天はため息をつきながら頂上へ向かって歩き始めた。
あきれながら頂上を目指すレべ天に追い付いて、これからの戦いを思い意気揚々と歩いている。
「あなたは戦うのが好きですよね」
「どうして?」
ドラゴンの主と戦う洞窟の前に着くまでレべ天は一言も話さない。
入り口に着いたレべ天はスマホを取り出して時間を見る。
「放課後になったら合図をしますね」
「頼むよ」
俺は闘技場へ向かいながら自分のスキルを確認した。
これまで幾多のモンスターを討伐したが、黒龍を倒して格が上がった以降、まったく上がらなくなった。
その上昇させる条件こそ、神を凌ぐといわれる【エンシェントドラゴン】の討伐という考えに至る。
レべ天に聞いた話では、俺の倒したエンシェントドラゴンは狂気に身を任せて理性を失っていたらしい。
姿や色が変わってしまっていたのも、モンスターとしての衝動があふれ出た結果のようだ。
闘技場に着くと、白いドラゴンが俺を迎えるようにそびえ立っていた。
俺は一礼をしてから
「今日も来ました。よろしくお願いします」
『冒険者よ、何度も言いますが手加減はできません』
「手加減なんてされたら楽しくないので嬉しいです」
白龍はかつてのレべ天のように頭の中へ直接話しかけてくる。
俺は錬気を始めとしたバフ魔法を自分へ行い、戦いに備えた。
白龍は俺の準備を待っていたのか、俺が構えたらすぐに咆哮を行い、赤い雷が天へ上る。
俺の拳は赤い雷の防壁を突破することができない。
黒龍の時とは違い、雷の起点となる角のようなものもなく、帯電状態が途切れることもなかった。
今できる全力の攻撃を行うべく、魔力全身へ駆け巡らせる。
「五月雨バーニングフィスト!!」
8発の炎の塊を白龍へ撃ち出す。
炎の塊一つ一つが、グリーンドラゴンなど普通のドラゴンを一撃で倒すことができる威力となっていた。
しかし、その襲撃を白龍は動くことなく無効化する。
俺は炎の拳を撃ち出してからすぐに赤い雷を拳で弾きつつ、エンシェントドラゴンに肉弾戦をしかけていた。
横目で赤い雷によって、攻撃が打ち消されるのを見ながら高速の一撃を振り下ろす。
「ソニックアタック!」
攻撃が白龍へ当たりかけた瞬間に、赤い雷が壁のように集まり、拳ごと弾かれるように吹き飛ばされた。
すぐに体勢を整えて、白龍へ顔を向ける。
(これでも届かないのか!)
自分の積み重ねてきたものがまったく通じず、どうするのか考える前に体が動き出す。
(とりあえず全力で殴り続ける!!)
俺は白龍へ向かって走り始める。
白龍は赤い雷を俺へ向けて放っていた。
◆
スキル
体力回復力向上Lv40
(Lv5) ┣[+剣熟練度Lv5]攻撃速度向上Lv40
(Lv10)┗キュアーLv40
剣熟練度Lv40
(Lv3) ┣挑発Lv40━[上級]宣言Lv40
(Lv5) ┣バッシュLv40
(Lv10)┗ブレイクアタックLv40
メイス熟練度Lv40
(Lv3) ┣[+ヒールLv3]身体能力向上Lv40
(Lv10)┗魔力回復力向上Lv40
ヒールLv40
(Lv5) ┣移動速度向上Lv40
(Lv10)┗[上級+キュアーLv10]ホーリーヒールLv40
杖熟練度Lv40
(Lv3) ┣ファイヤーアローLv40
(Lv5) ┣ライトニングボルトLv40
┃(Lv10)┗━[上級]ライトニングストームLv40
(Lv10)┗テレポートLv40━[上級]ワープホールLv40
短剣熟練度Lv40
(Lv3) ┣鑑定Lv15
(Lv5) ┣スキル鑑定Lv40
(Lv7) ┗急所突きLv40
盾熟練度Lv40
(Lv5) ┣[上級]パリィLv40
(Lv10)┣シールドバッシュLv40
(Lv10)┗[上級]シールドブーメランLv40
拳熟練度Lv40[上級]
(Lv3) ┣アースネイルLv40
(Lv5) ┣[+ファイヤーアローLv5]
┃バーニングフィストLv40
(Lv5) ┣旋風脚Lv40
(Lv10)┗錬気Lv40
弓熟練度Lv40
(Lv3) ┣気配察知Lv40
(Lv5) ┣鷹の目Lv40
(Lv10)┗[上級]マルチプルショットLv40
槍熟練度Lv12
(Lv5) ┣[上級]ソニックアタックLv5
(Lv10)┗[上級]五月雨突きLv8
銃熟練度Lv1
[シークレットスキル]
守護神の加護
海王の祝福
◆
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ご覧いただきありがとうございました。
現在カクヨムコン9に以下の作品で参戦しております。
ぜひ、応援よろしくお願いします。
【最強の無能力者】追放された隠し職業「レベル0」はシステム外のチート機能で破滅世界を無双する
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます