剣士中学生編⑩〜伊豆の狩り終了〜〜

 母親を車に残して、俺と父親、防具を着込んだ5人の計7人でフィールドへ向かう。


 一番若い男性は後ろで大きなリヤカーを引いていた。

 俺は先頭で歩き、他の6人はその後に続いてきてくれている。


 フィールドにつくと、グリズリーの倒れている周りに2体のウォーウルフがいた。

 モンスターを確認して、トラックに乗ってきた5人全員が銃を構えて撃とうとしている。


 俺はそれを止めようと声をかけようとした時、今度は父親が止めるように手を広げてくれた。


「一也、いけるのか?」

「大丈夫。まかせて」


 父親の言葉に答えて、俺はゆっくりウォーウルフへ向かって歩き出す。


 後ろでは髭の男性は父親へ正気かと尋ねている。

 父親は髭の男性に黙ってみているように言っていた。


「こいよ」


 俺がウォーウルフに近づきながら挑発を行うと、2体のウォーウルフがこちらへ一斉に向かってくる。


 俺は剣を抜き、飛びかかってくる1体目のウォーウルフの口へめがけて剣を突き立てた。

 それでウォーウルフが絶命し、2体目のウォーウルフへ剣に刺さっているウォーウルフを投げるように当てて地面に転がす。


 地面に転がったウォーウルフを足で押さえ付けながら首をはねて、2体のウォーウルフの処理が終わる。


 周りを確認しても、他にモンスターはいないようだ。


 フィールドの入り口で固まっている6人へ近づくと、全員がこちらをみて口を開かない。

 俺は早く回収してほしかったので、防具を着て呆然としている5人へ声をかける。


「すみません、あれも追加で」

「はい……」


 髭の男性がかろうじて声を出し、俺が倒したモンスター達をリヤカーに積み込み始める。

 さすがだが、4m以上あるグリズリーも5人でリヤカーに載せていた。


 トラックの止めてあるところまで戻って、リヤカーからトラックへモンスターを積み込んでいる時に、髭の男性が父親に話しかけていた。


「今回のモンスター達はオークションにかけられるので、少しお支払いが遅くなります」

「かまいません、よろしくお願いします」

「それと、オークション価格から引取手数料と解体手数料、オークション手数料を合わせた3割を引いてのお支払になります」

「ええ、わかっております」


 俺は父親が事務的なやり取りをしているのを眺めている。

 話が終わったのか、髭の男性が最後にと言いながら父親に尋ねていた。


「この代金の受け渡しはあなたでよろしいですか?」

「いいえ、これは息子でお願いします」


 髭の男性が父親にそう言われ、今度は俺へ髭の男性が近寄ってきて、ボードを俺へ渡そうとする。

 なにかと思ってボードを受け取ると、髭の男性が欄を指差す。


「……ここにサインをおねがいします」

「わかりました」


 髭の男性から指示されたところに氏名を記入してから、ボードを返す。

 髭の男性はボードを受け取ると、確認するように俺へ尋ねる。


「代金の支払いは第1区役所で行われます。必ず身分証を持ってきてください」

「わかりました。ありがとうございます」


 そのやり取りが終わってから、髭の男性はトラックに乗り込んで帰っていった。

 その様子を見届けた後、父親から帰ろうと言われたので、車に乗って帰宅する。


 帰宅中に父親に聞きたいことがあったので、聞いてみた。


「お父さん、グリズリーのことをEランクモンスターって言っていたけど、ランクってなに?」

「それは、国がモンスターごとに危険度でランク分けしているんだよ」

「へー、Eランクって強いの?」

「Eランクは強いんだけどな……」


 そう言ってから父親は話さなくなってしまった。

 俺は仕方がないから、スマホでモンスターのランクについて調べてみた。


モンスター危険度

Sランク: 地球上の生物をすべて滅ぼしたといわれている。現在はいない。

Aランク:ダンジョンの奥深くに存在し、暴れると国が滅びる。

Bランク:町を破壊する危険性がある。

Cランク:ビルなどの建物を破壊できる能力がある。

Dランク:地面を割るなどの能力がある。

Eランク:人体を破壊され、冒険者数人で対応しなければならない。

Fランク:一般的な冒険者が戦える。

Gランク:一般人でも戦える。

Hランク:人に無害。


 モンスターについて調べていると、家に着いたようだった。

 車を降り、両親がひどく疲れたような顔をしていたので、荷物の片付けを手伝おうと思う。


 俺は自分の剣を持ってから、両親へ荷物の片付けを手伝わせてほしいと伝える。

 そんな俺へ両親は感謝をしながら荷物を渡してくれた。

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