拳士の休日⑥〜充実した休日〜
谷屋さんは俺の攻撃を相殺して倒れてしまった。
最後に谷屋さんが放った攻撃はバッシュだったため、俺も衝撃で後ろへ弾かれそうになった。
心から谷屋さんの成長が嬉しくて、倒れた谷屋さんを心から祝福する。
(谷屋さんもスキルを覚えられたし、今日のイベントは最高だな!)
改めて周りを見ても立ち向かってくる生徒や保護者はもういない。
(もう終わっちゃったか……)
俺は向かってくる敵がいないことを確認してから、校長のところへ戻る。
テントの周りでは複数の教員が慌てて複数の生徒を介抱していた。
そんなことを気にもせず、俺は校長へ勝ち残ったことを伝える。
「俺が最後まで勝ち残ったので、優勝でいいですか?」
「そ、そうだね……」
「ありがとうございます。それでは、このお金はもらっていきます」
「どうぞ……」
俺は校長の言葉を聞いて、持ってきたリュックサックへお金を入れる。
その作業を校長は困惑しながら眺めていた。
お金を詰めている最中に、後ろから走ってくる足音が聞こえてくる。
俺はお金を入れる手を止めて、その音がする方向へ顔を向けた。
剣を振り上げながらこちらへ向かってくる生徒がいる。
(最後の敵かな)
俺はそばに置いてあった杖を持ち、走ってくる生徒を迎え撃つ。
校長が走ってくる生徒を制止させようとしていても、相手は止まろうとしない。
(向かってくるなら全力で打ち込む!)
こちらへ向かってくる生徒は、他の生徒と同じように全身を防具で覆い、鉄か鋼の剣を振り上げてこちらへ走ってきている。
走ってきている生徒が剣を振り下ろすのを確認してから左側へ避けて、相手の胴体をめがけて全力で杖を振った。
防具は鉄製だったようで、杖が当たると簡単にへこみながらその生徒を吹き飛ばされていった。
校長は向かってきた生徒を止めることができずに目の前のことが起きてしまい残念そうにうなだれた。
俺は気にすることなく、リュックサックへお金を入れるためにテントへ顔を向けると、保護者席からさっきの生徒のところへ駆け寄っている大人がいた。
テントの中からも教員がその生徒へ向かっていった。
駈け寄った大人は倒れている生徒の保護者だったようで、俺が吹き飛ばした生徒を心配そうに抱き寄せている。
俺はその様子が気の毒に思い、お金を入れ終わった後に最後に飛ばした生徒へ近づく。
俺が近づくと保護者らしき人が睨んできた。
その保護者は横にいた教員の方へ生徒を任せると、俺に向かって口を開く。
「あなた、このまま学校にいられると思わないことね!」
「なら、どうしてくれると言うのですか?」
その言葉だけで保護者が俺に敵対しようとしていることがわかる。
その事実だけで俺は眉をひそめて、保護者の言葉を待つことにした。
「私はPTA会長よ! あなたを学校から追い出すくらい訳ないわ!」
「それはどうやるんですか?」
「は!?」
「その口ぶりだと、あなたは自分の意見が通るようにPTAを利用しようとしているんですよね。あなたこそそんなことを言って大丈夫ですか?」
「な、なにを言っているのよ……」
「俺はただこの大会で勝ち残っただけです」
俺はそう言い放ち、PTA会長と言う人がまだ何か言っているが無視する。
テントの中に田中先生を見つけたため、今日はもう帰ることを連絡することにした。
(イベントも盛り上がったし、これで友達ができるかな……)
田中先生へ近づくとなぜか田中先生は少し挙動がおかしい。
俺をあまり見ようとしないで、視線をいろいろな方向へ逸らしている。
そんな様子を特に気にせずに俺は田中先生へ話しかけた。
「田中先生、今日は楽しめたのでもう帰ります」
「え!? 楽しめた……?」
「はい、これからもたまに来ますね」
「え、ええ……」
「それでは、失礼します」
俺は田中先生へ向かって軽く頭を下げた後に帰り始める。
グラウンドには次から次へと救急車が来ていた。
(明日は狩りへ行くぞ!)
新しい杖を持ちながら、俺は帰宅した。
夜に真央さんへ連絡を取り、明日狩りに行くことを相談して、ギルドへ集まる時間を確認を行う。
俺は真央さんに行きたい場所を伝えたら、スマホ越しにため息が聞こえる。
なんとか真央さんが納得してくれたため俺は明日の準備を行うことにした。
寝る直前にスキルを確認を行う。
以前購入したスキルの詳細が分かるシートへ血を染み込ませると文字が浮き上がってくる。
俺はシートを見ながら、成長している自分に感心する。
しかし、同時にある疑問を持ち、まぶたを閉じて眠り始めた。
◆
スキル
体力回復力向上Lv10
(Lv5) ┗[+剣熟練度Lv5]攻撃速度向上Lv10
剣熟練度Lv10
(Lv3) ┣挑発Lv10
(Lv5) ┣バッシュLv10
(Lv10)┗ブレイクアタックLv3
メイス熟練度Lv10
(Lv3) ┣[+ヒールLv3]身体能力向上Lv10
(Lv10)┗魔力回復力向上Lv10
ヒールLv10
(Lv10)┗移動速度向上Lv10
杖熟練度Lv2
銃熟練度Lv1
◆
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